ホーム » SDGs・サステナビリティ・SX » 企業のサステナビリティ・SDGs・社会課題解決、「連携」で始める5つの方法・ステップ

企業のサステナビリティ・SDGs・社会課題解決、「連携」で始める5つの方法・ステップ

企業 サスナブル サステナビリティ 社会貢献 社会課題 SDGs 連携 NPO NGO 寄付 ボランティア プロボノ

サステナブル、SDGs(持続可能な開発目標)といった言葉が浸透し、社会に対する企業の姿勢がますます問われている現代。様々なステークホルダーから応援され、持続的に成長していける企業であるために、自社の社会的なあり方を見直そうという機運が高まっています。

そもそも企業は、必ず何らかの形で社会に貢献しています。昨今では、社会課題解決や、理想とする社会の実現そのものをビジョンに掲げる企業(いわゆるソーシャルビジネス)も増えてきました。が、直ちに社会性の高い事業のみに移行するわけにいかないという企業もあるでしょう。

そんななかでサステナビリティに取り組もうと考えたとき、まずは自社の事業領域やビジョンなどと一致する課題(マテリアリティ)を検討し、取り組みのテーマを決定する必要があるかもしれません。

決定した後は、どのような形で活動を始めればよいでしょうか?

どんな企業でも取り組みやすく、しかも効果的なのは、すでに社会課題解決に携わっている組織と連携することです。

社会的ミッションを持つ組織と連携する

営利・非営利を問わず、より良い社会を目指して課題解決に携わっている組織は数多くあります。初めの一歩としてお勧めなのは、そのような組織と連携することです。連携の相手として代表的なのはNPO等の非営利組織ですが、社会的事業を営む営利企業という場合もあるでしょう。

方法としてよく知られているのは、寄付、ボランティア、プロボノです。寄付と言うと、単に資金や物品を提供することだと思われるかもしれませんが、必ずしもそれだけではありません。

寄付(資金や物品の提供、ただしそれにとどまらない)

社会課題解決に取り組む組織への寄付は、それ自体が実績となるだけでなく、現場で社会課題解決にあたるプロから課題についての知見を得るきっかけになります。また、寄付という形から始めて、さらにできることがないかを連携先と一緒に検討していくことができます。

参考:NPOと企業の対談から見えた、寄付からはじまる「連携」のカタチ|With優×三木プーリ

地方創生や地域活性化に取り組みたい企業であれば、企業版ふるさと納税(地方創生応援税制)を利用して自治体に寄付をする方法もあります。企業版ふるさと納税とは、国が認定した地方公共団体の地方創生プロジェクトに対して企業が寄付を行った場合に、法人関係税から税額控除する仕組みのことです。各自治体で様々なプロジェクトが立ち上げられています。

参考:企業版ふるさと納税ポータルサイト(内閣官房・内閣府総合サイト)

当初のプロジェクトの範囲を越え、自治体や自治体で活動する組織との連携を深めていくケースもあります。

参考:【地域活性化連携】岩手県滝沢市を選んだのは「ビジョンが合ったから」|夢真ビーネックス【前編】

ボランティア(人材の提供)

ボランティアは、有志によって行われる、専門的な能力や知見を必要としない社会貢献です。従業員が日常業務では触れることの少ない社会課題や地域のことを肌で感じる機会になります。

参考:地域とのつながりがモチベーションを生む。カルビー従業員に聞く、CSR活動に参加する意義

また、ボランティアは従業員エンゲージメント(社員の自社に対する信頼や貢献意欲)を高めうることが知られています。ボランティアに参加した社員は、帰属意識が高かったり、企業文化を肯定的に評価したりする傾向があることが報告されています。(2011 Executive Summary Deloitte Volunteer IMPACT Survey)

さらに、ボランティアは社会に対する自社のあり方を表明するものになるため、社会的側面を強化するブランディングとして機能します。

参考:「企業の従業員ボランティア促進のメリットとは?制度事例やソリューションもご紹介」(activo)

プロボノ(スキルを持つ人材の提供)

プロボノは、参加者の専門的な能力や知見を活用するボランティアです。専門的と言っても、多くの場合、従業員が通常の業務を通して得られたビジネススキルがあれば十分です。有志で行われることもあれば、研修として行われることもあります。

プロボノもやはり、従業員エンゲージメントを高められることが特徴です。従業員にとっての成長機会となる、人材育成効果が高い形の連携です。

本業と異なる“異文化”での経験が、本業における仕事への主体的な取り組み、キャリアの変化に対する開かれた態度、自社への愛着的な態度等の上昇につながることが示唆されています。2015年度「Panasonic NPOサポート プロボノ プログラム」参加者への調査からのご報告~前編~(パナソニック)

また、自己効力感や自己有用感が高まる、多様性への理解が深まるとの結果も出ています。プロボノで組織基盤強化10年。NPO&社員にとっての成果・効果とは?|Panasonic「NPO/NGOサポート プロボノ プログラム」後編

連携相手となる組織が持たないスキルや知見を提供するため、連携相手が得ることのできる成果が通常のボランティアより大きくなる可能性もあります。

連携先への支援内容としては、情報発信、業務改善、ファンドレイジング、事業戦略等があります。

参考:社員のスキルを活かし、NPOとチームを組む、「プロボノ」の魅力とは?|Panasonic「NPO/NGOサポート プロボノ プログラム」前編初めての企業連携で見えた、難しさと得られた成果とは?|NPO法人 a little【前編】

パナソニック株式会社がプロボノプログラムを運営するにあたって連携しているのは、プロボノを仲介する中間支援組織認定NPO法人サービスグラントです。プロボノを提供する企業、サービスグラント、プロボノを受ける組織の三者が連携する形になります。

社会的ミッションを持つ組織と共に、本来の事業で貢献する

自社本来の事業における社会への貢献度やインパクトを、社会課題解決に携わる組織と連携することで大きくすることもできます。ここでは、共同開発の例と共同経営の例をご紹介します。

共同開発

社会課題解決に携わる組織が社会の細やかなニーズを吸い上げ、企業の商品・サービス開発につなげる形です。社会課題解決と企業の課題解決が両立します。

NPO等の組織は、企業による市場調査には表れづらい市民の生の声に触れているため、なかなか明るみに出なかったニーズを把握できることがあります。こうしたニーズが企業の方向性と合致すれば、新しい事業・市場創出が可能となり、事業を通じた社会課題解決につながります

解決に向けて期待できる効果が明白で、市民に喜ばれる商品・サービスとなるため、従業員の働き甲斐や社会的なブランディング効果も大きくなります

好例は、子育てを支援する認定NPO法人こまちぷらす、東京キリンビバレッジサービス株式会社、花王株式会社の三者が連携して開発された「おむつ自動販売機」です。

市民や企業が集うこまちぷらす開催のワークショップで聞かれた、「おむつが自販機で売っていたらいいのに」という1人のお父さんの声がきっかけとなり、飲料とおむつの両方を販売する自販機が開発されました。

赤ちゃんを持つ親にとっては、「お出かけ先で手軽に1、2枚を買いたい」というニーズが満たされました。キリンビバレッジとしては、コロナ禍、高齢化や人口減、環境意識の高まり等によって自販機での飲料売り上げが減少するなか、おむつ自販機のほうが他の同条件の自販機よりも飲料の売り上げが多くなるという成果が得られました。自販機、広がる高付加価値化 紙おむつ販売、連携アプリで健康指導(SankeiBiz)

SNS上でも話題になったこのおむつ自販機は、現在、全国72か所に設置されています。また、ダイドードリンコ株式会社、大王製紙株式会社、セコム医療システム株式会社の三者の連携を始め、他社の参入によって子育て支援型の自販機は全国で増え続けています。

参考:「おむつが自販機で売っていたらいいのに」NPOと複数企業とで実現した市民のニーズ|認定NPO法人こまちぷらす【前編】 

共同経営

共通のパーパス(存在意義、志、理念)やビジョン・ミッションを持つ組織同士の経営陣が、互いの組織の理事・役員として参画する形です。従業員同士の密な交流に加え、事業上の連携も行われます。

組織のパーパスが事業を通じて全役職員に浸透し、社会に対しても明確なメッセージを持ちます。両組織にとってのブランディング効果が非常に大きい形です。

好例は、米国の登山靴メーカー「Timberland」と若者支援NPO「City Year」との連携です。コミュニティへの貢献という共通のミッションを持つ両者の連携は、寄付(製品の提供)に始まって、互いに価値を提供しあうものへと進展しました。

たとえば、City YearはTimberlandに全従業員のチームビルディングやリーダーシップ開発等の研修を提供、TimberlandはCity Yearに財務、マーケティング、人事等における助言を行いました。最も連携が進んだ段階では、Timberlandの従業員がCity Yearで業務に従事することは、自社で業務に従事することと何ら変わりないとみなされました。

TimberlandはCity Yearからコミュニティサービスのプログラムや従業員教育についての技術・知見を吸収していますが、社会的インパクトという面では、可視化・数値化の難しい価値も大きいとされます。

参考:Austin, James E. 2000. Strategic Collaboration Between Nonprofits and Business. Nonprofit and Voluntary Sector Quarterly; 29; 69.

5つの方法と利点、まとめ

ここまで、連携の深さの度合いにしたがって、利点や事例をお伝えしてきました。この順番で連携が進むとは限りませんが、社会的な取り組みを充実させていくステップとして参考にしていただければ幸いです。

寄付(資金や物品の提供)

  • 社会貢献活動としての実績になる
  • 社会課題解決のプロから課題についての知見を得られる
  • 連携の「最初の一歩」になる

ボランティア(人材の提供)

  • 従業員エンゲージメント(社員の自社に対する信頼や貢献意欲)が高まる
  • 社会的なブランディングになる

プロボノ(スキルを持つ人材の提供)

  • 従業員エンゲージメントが高まる
  • 社会的なブランディングになる
  • 人材育成効果が高い
  • 連携相手が得ることのできる成果が大きい

共同開発

  • 社会課題解決と企業の課題解決が両立
  • NPO等が把握したニーズをもとに新しい事業・市場創出が可能
  • 従業員の働き甲斐が大きくなる
  • 社会的なブランディング効果が大きい

共同経営

  • 連携先のビジョン・ミッションが企業のビジョン・ミッションと大きく重なる
  • 社会的なブランディング効果が非常に大きい
  • 従業員エンゲージメントや育成の効果、従業員の働き甲斐が大きい
  • 可視化・数値化しづらいものを含め、生まれる価値が大きい