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サステナビリティ委員会とは?役割や種類、メリット、企業事例を解説

サステナビリティ委員会とは

社会とともに企業にもサステナビリティ活動が求められるようになってきました。
企業のサステナビリティ活動の成功には、組織を作って戦略を立てることが大切です。

今回の記事では、企業のサステナビリティをまとめる上で重要なサステナビリティ委員会について解説します。

サステナビリティ委員会に興味がある企業は、ぜひチェックしてください。

サステナビリティ委員会とは

サステナビリティ委員会とは、企業にサステナビリティ活動を浸透させるための専任組織です。
サステナビリティ委員会の構成員は、一般的に委員長が社長、副委員長が戦略本部長となります。

どのような活動をするかは企業によって異なりますが、企業のサステナビリティ活動が社会が求めることと一致しているか戦略を立てて組織を動かすという点では変わりありません。

企業におけるサステナビリティ委員会の役割

企業におけるサステナビリティ委員会の役割は、経営戦略立てや活動の推進などが挙げられます。

サステナビリティ委員会が中心となって企業のサステナビリティ活動の方針や目的などを決め、経営陣と相談してから社内・社外へ広めるという流れが一般的です。

サステナビリティ委員会内で決まった事項が経営会議で議題になるケースも少なくありません。

サステナビリティ委員会は予算や人員、スケジュールなどと密接に関わっているため、経営陣の下部組織として位置づけれられることが多いです。

サステナビリティ委員会と経営陣が一丸となって、同じ方向性でサステナビリティ活動に挑むことが大切です。

サステナビリティ委員会の種類

サステナビリティ委員会には、以下のような3種類があります。

①取締役会の構成委員会

サステナビリティ委員会は、社長が委員長となるような取締役会の構成パターンが主流です。

いわゆるトップダウン型と呼ばれるもので、経営陣が決定した事項を部長・課長・一般社員というように社内全体に広める形です。

取締役会の構成委員会は、主に規模が大きな企業に多いと言えるでしょう。

厳選された少人数で方針を決めるため意思決定がスムーズというメリットがある一方、従業員全体の意見を反映しづらいというデメリットもあります。

②各部門メンバーで構成された部門横断型の委員会

①の取締役会の構成委員会とは反対に、各部門メンバーで構成させた部門横断型の委員会もあります。

各部門のメンバーが代表となって活動し、他の部署や経営陣にも展開するという流れです。

あらかじめサステナビリティ戦略が決まっているわけでないため、各部門が自由に意見できる点は、各部門メンバーで構成させた部門横断型の委員会のメリットの一つでしょう。

企業のサステナビリティ浸透には、社内全体で一丸となって挑むことが大切です。

従業員全体を巻き込んだサステナビリティ活動を目指す場合、各部門メンバーで構成させた部門横断型の委員会のほうが理想的と言えるでしょう。

各部門メンバーで構成させた部門横断型の委員会はいわゆるボトムアップ型で、トップダウン型とは意見の出所が反対になる特徴があります。
各部門で出たアイデアをサステナビリティ委員会や経営陣がサポートする形です。

サステナビリティ委員会がテーマを募集し、各部門メンバーがプロジェクトという形で参画するケースも珍しくありません。

従業員全体が主体となって動いてほしい企業や規模が小さい企業は、ボトムアップ型のサステナビリティ委員会が多い傾向にあります。

③サステナビリティ推進の窓口を設置

企業規模や従業員数などによってはサステナビリティ委員会の設置が難しいかもしれません。

サステナビリティ委員会の単独設置が難しい場合、サステナビリティ推進の窓口の設置も一つの手段です。

総務部や広報部の一部をサステナビリティ推進室にするなど、新部署の立ち上げではなく現部署の組織図を変更するという形です。

サステナビリティ推進窓口担当者が①の取締役会の構成員を兼ねているケースもあり、社内全体のサステナビリティ活動の軸になると言えるでしょう。

委員会を設置することが難しいからとすべてを諦める必要はありません。まずは社内のサステナビリティ活動について経営層と話を進められる窓口担当者の専任からしていきましょう。

サステナビリティ委員会が必要とされる背景

サステナビリティ委員会が必要とされる背景には、「サステナビリティ経営」と「ESG経営」の推進があります。

サステナビリティ委員会を設置することで、サステビリティ経営やESG経営への取り組みについて社内外にアピールできるほか、経営にサステナビリティの視点を入れ込むことができます。

それぞれについての概要は以下のとおりです。

サステナビリティ経営の推進

サステナビリティ経営とは、その名の通りサステナビリティに根付いた経営を指します。

SDGsや以下で説明するESGなどに基づいた経営によって、企業が持続可能な社会に貢献することを目的としています。

サステナビリティ経営の詳細は、以下のリンクをご覧ください。

ESG経営の推進

ESG経営とは、「環境(Environment)」「社会(Social)」「ガバナンス(Governance)」を軸とした経営です。

目先の利益でなく、環境や社会、企業統治に配慮した経営によって長期的な企業成長や利益を目指しています。

ESG経営の詳細は、以下のリンクをご覧ください。

サステナビリティ委員会設置のメリット・デメリット

サステナビリティ委員会の設置には、メリットがある一方でデメリットもあるので注意が必要です。

サステナビリティ委員会設置のメリット・デメリットは以下のとおりです。

メリット

サステナビリティ委員会設置のメリットとして、以下の2つが挙げられます。

経営陣と各部署のかけ橋ができる

企業のサステナビリティ活動を成功させるには、社内全体で同じ目標・目的を共有したうえで取り組む必要があります。

しかし、実際に予算や決定権を握りながら中心となって動いている経営陣と、情報を受け取るその他の従業員との間には、サステナビリティ活動における温度差が生じてしまうでしょう。

サステナビリティ委員会の設置によって両者にかけ橋ができ、同じ目標や目的を連携しやすくなります。
社内全体が団結することで、企業のサステナビリティ活動を加速・強化できます。

従業員が自身の業務に集中できる

サステナビリティ推進窓口のように従業員がサステナビリティ委員会を兼任するパターンもありますが、その従業員にかかる負担も大きくなります。

サステナビリティ活動のために本来の業務に支障をきたしていては、本末転倒と言えるでしょう。

サステナビリティ委員会という専任組織を設置することで、各従業員は自分の業務に集中しながら、必要最低限の労力で企業のサステナビリティ活動に参加できます。

サステナビリティ活動は専任組織に一任したい場合、サステナビリティ委員会の設置がおすすめです。

デメリット

サステナビリティ委員会設置のデメリットとして、以下の2つが挙げられます。

従業員の当事者意識が薄れる可能性がある

サステナビリティ委員会はサステナビリティに関する知識が豊富で、方針や戦略決定を安心して任せられます。

しかし、その分サステナビリティ委員会のメンバーでない従業員の当事者意識が薄れる可能性もあります。

「企業のサステナビリティ活動はサステナビリティ委員会に丸投げするのではなく、社内全体で取り組む必要がある」と浸透させなければ、従業員の参加率が悪く、遂行されないかもしれません。

サステナビリティ委員会の設置有無にかかわらず、従業員全体に当事者意識を浸透させることが大切です。

サステナビリティ委員会への情報連携の手間や時間がかかる

経営陣だけでサステナビリティの方針を決めると、情報連携は各部門宛てのみで済みます。

しかし、サステナビリティ委員会を設置した場合、経営陣と従業員とは別に、サステナビリティ委員会との情報連携も必要となります。

サステナビリティ委員会との情報には戦略やスケジュール、予算など重要事項が含まれているため、三者間で正確にスピーディーに情報を展開するのは簡単ではありません。

サステナビリティ委員会を設置する場合は、情報連携のルールや各者の立ち位置を明確にしておきましょう。

サステナビリティ委員会設置の企業事例

ここではサステナビリティ委員会を設置した企業の事例について2つ紹介します。

事例①:株式会社クラレ

株式会社クラレは、社長を委員長として2021年11月よりサステナビリティ委員会を設置しました。

サステナビリティ委員会は取締役会・社長と5つのプロジェクトとのワンクッション的な役割があります。

地球環境やダイバーシティなど専門分野に特化したプロジェクトで、メンバーは固定ではなく進捗ごとに入れ替えます。

クラレのサステナビリティ委員会は、柔軟に変化するプロジェクトチームを取りまとめるために必要不可欠な組織と言えるでしょう。

事例②:三井物産株式会社

三井物産株式会社のサステナビリティ委員会は2018年5月に設置されました。

委員長は副社長ですが、経営陣だけが主体となるのではなく、社内全体でサステナビリティ活動に取り組むという特徴があります。

これは、先述したサステナビリティ委員会の種類②の「各部門メンバーで構成させた部門横断型の委員会」に当てはまります。

事業全体が自分事と捉えることで、個人だけでなく三井物産の「いい仕事」について考える機会が増えました。

ESG情報の開示やサステナビリティレポートによる情報開示にも力を入れており、事業全体で取り組んでいることを社外にも積極的に伝える体制を整えています。

ボトムアップ型のサステナビリティ委員会を設置するなら

先述したように、従業員全体でのサステナビリティ活動を推進させるには、ボトムアップ型のサステナビリティ委員会の設置が必要と言えます。

ICHI COMMONS株式会社が提供する「サステナ委員会パッケージ」では、ボトムアップ型のサステナビリティ委員会の設置からサポートし、企業が自律的にサステナビリティ活動を推進できるメニューがパッケージ化されています。

まとめ 

今回の記事では、サステナビリティ委員会について解説しました。
サステナビリティ委員会は、企業の主要メンバーとともにサステナビリティ活動の方針や戦略を決める重要なポジションです。
サステナビリティ委員会を専任する場合もありますが、ほかの部署と兼任する場合もあります。

サステナビリティ委員会は経営陣が意思決定し他部署に展開するトップダウン型と、社内全体での取り組みを経営陣がサポートするボトムアップ型に分けられ、後者の方が従業員全体を巻き込んでサステナビリティ活動を進めやすいと言えるでしょう。

社内だけでボトムアップ型のサステナビリティ委員会の設置が難しい場合、専用サービスの活用を検討してみてください。