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【2023年最新版】企業向けサステナビリティ関連認証・ラベル一覧

サステナビリティ認証制度

企業が社会や環境への責任を果たしていることを示す、サステナビリティ・SDGsの認証制度。サステナビリティラベルやマーク、賞を取得することで、企業の取り組みが透明化され、消費者や投資家からの支持を得ることができます。

今回の記事では、ESG投資の観点からも注目が集まる、サステナビリティ認証についてご紹介します。

目次

企業がサステナビリティに関する認証を取得するメリット

サステナブル認証とは、「企業が社会や環境に配慮した事業を展開しているか」「製品やサービスが、環境・社会・経済に配慮しているか」などを、第三者機関が基準に基づいて評価・審査し、認証する制度のことです。

認定審査を通過すると、認証マークやラベル、表彰を受けることができます。現在では、国際的な認証制度だけでなく、日本の経済産業省や農林水産省などが運営する認証制度もあります。

投資家や消費者からの評価基準としても重要視されるサステナブル認証。ここでは、企業がサステナビリティ関連の認証を取得するメリットを確認していきましょう。

企業価値を向上できる

サステナビリティ認証を取得することで、自社のサステナビリティに関する情報開示や取り組みが透明化され、企業価値の向上につなげることが可能です。

認証マークを獲得するということは、企業の取り組みが第三者によって検証されたことを示します。これにより消費者や投資家は、企業が環境や社会に配慮した経営を行っていることを信頼しやすくなると言えるでしょう。

社内統制の活性化につながる

認証ラベルを取得することで、社内のサステナビリティに対する意識を高められる可能性もあります。認証を取得するためには一定の基準を満たす必要があるため、サプライチェーン全体が一丸となってサステナビリティ活動に取り組まなければなりません。

基準を満たすために改善策を考え、実践していくことは、社員のサステナビリティ意識の向上にもつながるでしょう。

国際的なサステナブル認証

ここからは、国際的なサステナブル認証についてご紹介していきます。概要や取得条件についても解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。

ISO認証(国際標準規格)

スイスのジュネーブにある国際標準化機構、ISOが実施している認証制度です。ISOでは世界中の標準規格を定めており、ISOが制定した規格は「ISO規格」と言われています。

数ある認証の中でも特に注目を集めているのが、環境マネジメントにまつわる「ISO14001」という認証です。自社の活動による環境負荷を最小限に抑え、環境パフォーマンスを向上させることを目的としています。また、エネルギーや資源の有効活用によるコスト削減効果も期待できるのが特徴です。

主催社:国際標準化機構(International Organization for Standardization)
概要:製品やサービス、マネジメントシステムが標準規格を満たすことで認証される制度
取得条件:業種・分野別に定められた規格の遵守。2回の審査で認定証が発行され、毎年1度の維持審査と3年おきの更新審査が必要
取得企業数:約8万(日本)
主な取得企業:コクヨ株式会社、KDDI株式会社、アイカ工業株式会社

出典:国際標準化機構

B corp認証

B Corporationの略称であるB corp認証は、環境や社会性の観点から、公益性が高いと認められた企業が取得できる認証です。

環境や社会に配慮した事業はもちろん、説明責任や情報開示義務といった厳しい条件をクリアした場合のみ認証を受けられます。個人事業主から上場企業まで、企業規模に関わらず申請することが可能です。

主催社:アメリカの非営利団体 B-Lab
概要:環境・社会的条件のもと、企業価値が高いと見なされた企業に与えられる制度
取得条件:約200の項目に基づく認証試験のクリア。書類審査や海外事務局によるヒアリング面接の通過で認定証が発行。※審査書類やヒアリングは全て英語で実施
取得企業数:23社(日本)
主な取得企業:株式会社エコリング、フリージア株式会社、石井造園株式会社

出典:B corpホームページ

SDGインパクト認証ラベル

企業や団体のSDGsへの対応状況を認証する「SDGインパクト認証ラベル」。「プライベート・エクイティファンド」「債券準」「企業・事業」の3つを対象に、SDGsへのインパクトがあるかどうかを評価します。

SDGラベルは、自社の事業がSDGs目標を達成しているか否かを測る重要な指標としても、世界から注目を集めています。

主催社:国連開発計画(UNDP:United Nations Development Programme)
概要:企業のSDGsへの取り組みに対して認証される制度
取得条件:戦略、管理アプローチ、透明性、ガバナンスの4つの視点から評価し、審査を通過することで認定ラベルが発行

出典:国連開発計画 HP

国際フェアトレード認証ラベル

世界的な認知度が高い国際フェアトレード認証ラベルは、開発途上国の生産活動や製品が公正な価格・条件で取引されていることを証明する認証です。

社会・環境・経済の3つの観点から定められた国際フェアトレード基準に基づいて評価され、認証ラベルを取得することで、人権や環境への配慮を示すことができます。

主催社:国際フェアトレードラベル機構(Fairtrade International)
概要:企業が提供する製品やサービスに対し、公正な条件で取引されている(フェアトレードできている)ことを示す
取得条件:適正価格の保証、プレミアム(奨励金)の支払い、長期的な取引、児童労働の禁止、環境に優しい生産などの基準を満たしている製品であること
取得企業数:約130社(日本)
主な取得企業:味の素AGF株式会社、伊藤忠商事株式会社、ヱスビー食品株式会社

出典:フェアトレードジャパンホームページ

Social Accountability 8000認証(人権に関する国際認証規格)

SA 8000認証は、児童労働や強制労働の禁止、結社の自由、差別の禁止、団体交渉権の所持、公正な報酬といった人権問題に関する国際認証規格です。工場を持つ製造業や発展途上国での取得が増加している傾向にあります。

SA 8000認証を取得することで、企業の事業活動における社会的責任を証明し、企業価値を向上させることが可能です。業態や規模に関わらず、世界の組織で適用されている認証制度なので、海外拠点を持つ企業にとっては情報開示の際に役立つでしょう。

主催社:アメリカのNGO団体(SAI:Social Accountability International)
概要:国際的な人権・労働規定に基づき、従業員の権利行使や保護をするための認証規格
取得条件:労働条件や公正報酬などの就労環境基準に基づき審査後、認証を発行
取得企業数:世界で約4000社

出典:Social Accountability International

CDP認証(GHG排出量認証制度)

CDPは、企業の温室効果ガスの排出量や気候変動への取り組みに関する情報開示を求める、イギリスの非営利団体です。企業や組織から集めた情報をとりまとめ、世界中の投資家や政府関係者に提供しています。

認証を取得するには、温室効果ガスの排出量や気候変動に関する質問状に回答し、スコアリング評価を受けなければいけません。CDPの活動は機関投資家からの注目を浴び、日本でも認証を受ける企業が増加しています。

主催社:イギリスの環境非営利団体(CDP:Carbon Disclosure Projectl)
概要:企業の温室効果ガスの排出量や気候変動への取り組みに関する認証制度
取得条件:CDPが作成する3つの質問書に回答し、回答内容によってスコア別に企業の格付けを実施
情報開示社数:約1,700社(日本)
Aリスト受賞企業:花王株式会社、ANAホールディングス株式会社、アサヒグループホールディングス株式会社

出典:CDPジャパンホームページ

SBT認証(GHG排出量削減目標設定)

SBT認証とは、温室効果ガス排出削減目標を定めていることを示す認証です。定めた目標に、パリ協定で提示された水準との整合性があるかどうかを評価されます。SBT認証を取得することで、パリ協定の水準を満たした持続可能な企業であることをアピールすることが可能です。

SBT認証には、通常と中小企業向けに2種類の制度があり、それぞれ目標レベルや削減対象レベルが異なります。例えば、通常のSBT認証では毎年4.2%以上の温室効果ガスの削減が認証取得の条件です。自社だけでなく、サプライチェーン全体での排出量削減(Scope 3)が求められています。

主催社:CDP、国連グローバルコンパクト(UNGC)、世界資源研究所(WRI)、世界⾃然保護基⾦ (WWF)の共同運営
概要:パリ協定に準拠した温室効果ガス排出量の削減目標に対する認証制度
取得条件:GHGプロトコル企業基準に則った企業全体のScope1,2 排出量の抑制、申請時から5年以上先、10年以内の目標設定(目標水準の規定あり)
取得企業数:約375社(日本)※認定企業とコミット企業の合計
主な取得企業:日幸製菓株式会社、凸版印刷株式会社、日の丸自動車株式会社

参考:環境省 SBTについて

RE100認証(再生可能エネルギー)

「RE100」は、再生可能エネルギー100%で事業活動を行うことを宣言した国際的な企業集団です。太陽光発電や風力発電といったエネルギーで、事業に必要な電力を賄うことを目標にしています。

RE100に加盟すれば脱炭素化推進企業として認められるため、世界の投資家や消費者へのアピールにつなげられるでしょう。欧米諸国をはじめ、RE100への加盟企業は増加しており、日本での取り組みも広がっています。

主催社:イギリスの非営利組織The Climate Group、CDPの共同運営
概要:再生エネルギー100%で事業展開をしている企業に与えられる認証制度
加盟(認証)条件:再生可能エネルギー100%の達成目標年、目標のマイルストーンなどを記載した資料を提出後、RE100基準に基づき評価
加盟社数:約77社(日本)
主な取得企業:コニカミノルタ株式会社、富士通株式会社、積水ハウス株式会社

参考:環境省 RE100について

TCFDマーク

TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)とは、直訳すると気候関連財務情報開示タスクフォースの意味を指し、気候変動による財務的なリスク情報開示を要求する組織のことです。

TCFDの情報開示に賛同することを示せばTCFDマークを取得でき、気候変動リスクを考慮した経営の実施を示すことができます。TCFD提言は投資家からの評価基準としても重視されており、上場企業を中心にさまざまな事業者が賛同しています。

主催社:G20からの要請により、金融安定理事会(FSB)が設立
概要:気候変動リスクに関する情報開示を行うことで得られる認証マーク
認証条件:気候変動リスクに備えた経営情報を開示・申請することで認証
賛同企業数:約1,306社(日本)
主な賛同企業:株式会社NTTドコモ、株式会社博報堂DYホールディングス、株式会社KADOKAWA

出典:TCFDコンソーシアム

GOTS(オーガニックの国際認証)

繊維製品がオーガニックであることを証明するGOTS(Global Organic Textile Standard)認証。コットンやウール、麻などを原材料として作られた製品がオーガニックで生産され、製造から流通にわたる全ての過程において一定の項目を満たすことが条件です。

インドやバングラデシュなどでの認定企業が多く、日本国内でも持続可能な製品開発に向けて動きを起こしている企業が増加しています。近年ではエシカル消費への関心が高まっていることもあり、GOTS認証はますます重視されるサステナビリティ認証のひとつと言えるでしょう。

主催社:Global Organic Textile Standard(GOTS)
概要:オーガニックな原材料を使用し、環境や社会に配慮して生産された製品であることを示す認証
認証条件:原料は70%以上がオーガニックであること、衛生的かつ搾取のない労働条件であることなど、GOTSが定める基準を満たすことで認証

日本のサステナブル認証

国際的な組織だけでなく、日本が発行している認証制度もあります。外務省や環境省などの政府機関から発行されることが多く、企業の社会性を十分高めることができるでしょう。

ここでは、日本で発行されているサステナブル認証の一例をご紹介します。

SDGs・ESG全般の認証制度

まずは、SDGsやESGに関わる認証制度から見ていきましょう。普段からサステナブル経営に取り組んでいる場合は、ぜひチェックしてみてください。

ジャパンSDGsアワード|外務省

外務省が実施しているジャパンSDGsアワードは、SDGs目標の達成に向けた優れた取り組みをしている企業を表彰する制度です。SDGsの目標達成に向けた企業の取り組みを促進し、オールジャパンとしての活動を推進するために創設されました。受賞企業は、SDGs推進円卓会議構成員からなる選考委員の意見から決定されます。

SDGsアワードと言ってもいくつかの種類に分けられており、それぞれの項目でふさわしい企業が選定されるのが特徴です。評価基準は、普遍性・包摂性・参画型・統合性・透明性と説明責任の5つ。SDGs実施指針における実施規則に基づいて評価されます。

ジャパンSDGsアワードは、企業がSDGs目標を達成していることを示す重要な指標となるため、エントリーを検討してみても良いでしょう。

主催社:外務省(SDGs推進本部)
概要:SDGs目標の達成に向けた優れた取り組みをしている企業・団体を表彰する制度
受賞条件:普遍性・包括性・参画性・統合性・透明性と説明責任の5つの評価基準を満たしているかが評価基準にあたる
受賞企業数:約38社(団体含む)
主な受賞企業:阪急阪神ホールディングス株式会社、株式会社フジテレビジョン、大阪府

ESGファイナンス・アワード【環境サステナブル企業部門】|環境省

ESGファイナンス・アワードは、環境省によって令和元年より実施されている比較的新しい制度です。脱炭素や持続可能な社会の実現が求められる現代において、環境・社会・経済などのESG要素を考慮した投資が一般的となりつつあります。

ESGファイナンス・アワードは、このようなESG金融の普及や拡大を広げることを目的として開始されました。

環境サステナブル企業部門は、環境関連の重要な機会とリスクを経営戦略に取り込み、企業価値や環境へプラスの影響を与えている企業を表彰する部門です。主な受賞企業としては、アサヒグループホールディングス株式会社や味の素株式会社があげられます。

主催社:環境省
概要:環境・社会事業に積極的に取り組む金融機関や企業を表彰する制度。ESG記入の普及・拡大を目的としている
受賞条件:「環境サステナブル企業」の評価軸を参考に、環境問題に関する「リスク・事業機会・戦略」「KPI」「ガバナンス」の開示充実度を基に選定
受賞企業数:約144社
主な受賞企業:第一生命保険株式会社、株式会社三菱UFJ銀行、ブルームバーグ・エル・ピー

環境関連の認証制度

続いて、環境関連の認証制度を確認していきましょう。地球温暖化や海洋汚染など多くの環境問題が深刻化している現代では、環境に配慮した対策が迫られています。

環境関連の認証制度を取得することで、自社の環境経営に関する取り組みを具体的にアピールすることが可能です。

エコマーク認定ラベル(環境ラベル)

エコマークは、原材料の調達から廃棄に至るまで、環境への負担を少なくし、環境保全に役立つことが証明された商品につけられる認証制度です。国内初の環境ラベルとして1989年に制定されました。社会的にも非常に知名度の高い認証のため、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。

エコマークラベルを取得することで「環境に配慮した製品である」とアピールしやすくなり、消費者が適切な商品選定を行う手助けとなります。

エコマークラベルは「球温暖化の防止」「生物多様性の保全」「有害物質の制限とコントロール」「省資源と資源循環」という4つの観点から評価され、認定を受ける仕組みです。

エコマークとは言っても、さまざまな商品につけられるため、商品の用途や特徴などによってカテゴリー分類がされています。エコマークラベルを取得する際は、自社の商品がどのカテゴリーに該当するかを確認してから申請するようにしましょう。

主催社:公益財団法人日本環境協会
概要:ライフサイクル全体で環境保全を考慮している商品に与えられる認定
認定条件:ISO14024のタイプⅠ環境ラベルに基づいて認証。日本環境協会が定める、独自のライフサイクルと総合的な環境側面の認定基準によって選定
認定企業数:約2,188社

FSC認証ラベル(森林認証)

FSCとは「Forest Stewardship Council」の略称で、森林管理協議会という国際組織のことを指します。環境破壊・森林破壊の深刻化に伴い、適切かつ持続可能な森林保護を行うために設立されました。

FSC認証は、持続可能な森林保護によって生み出された木材や生産物に対して認証を与える制度です。FSC認証をつけることでほかの製品や木材と区別でき、消費者が適切な森林管理を行っている事業者を支援できる仕組みとなっています。

FSC認証には「FM」と「CoC」という2種類の認証が存在します。FMの審査には、環境・社会・経済の3つの観点から森林管理に関する10の原則が定められており、それらの条件を満たすことが必要です。

またCoC認証では、加工や流通における過程を審査します。FM認証を満たした木材で作られた製品が消費者に届くまでに、社会や環境に配慮されているかどうかが評価されます。つまり、FSC認証を受けるためには、生産・加工・流通といったすべての過程において「森林保護をしている」と認められる必要があるのです。

主催社:FSC(森林管理協議会)
概要:適切な森林管理が行われていることを認証する「FM認証」と認証を受けた森林家庭からの木材・木材製品であることを認証する「CoC認証」の2段階の認証制度
認証条件:独自のFM認証基準とCoC認証基準に基づき選定
主な認証企業:日本マクドナルド株式会社、ユニクロ株式会社

出典:FSC Japan

脱炭素化に関する認証制度

脱炭素化に関する認証制度も見逃せません。近年では、多くの企業でカーボンオフセットに関する取り組みが増えてきているため、事前にチェックしておきましょう。

カーボン・オフセット認証

環境省が設立したカーボン・オフセット認証。カーボン・オフセットの取り組みを広め、CO2の排出量の認識と削減努力を促進する目的で制定されました。2017年からは民間主導の認証プログラムとなっており、環境省が公開しているガイドラインに基づき審査が行われています。

カーボンオフセットの認証プログラムは、厳密に「カーボン・オフセット認証」と「カーボン・ニュートラル認証」2種類に分けられ、それぞれ認証の条件が異なるのが特徴です。カーボン・オフセット認証は、企業で取り組まれているカーボン・オフセットの取り組みを一定の基準に基づいて審査され、認証が与えられます。

認証の取得にあたって、温室効果ガスのすべての排出量を算定する必要はありません。削減努力も定性的な評価で行われるため、比較的取り組みやすい認証であると言えるでしょう。

カーボン・オフセット認証を取得した企業は、社会的信頼を高めることができ、消費者や投資家からの評価向上も期待できます。販売促進や人材獲得時のアピール材料としても活用でき、生産する商品やサービスに対して認証を取得する企業が多いようです。

主催社:環境省
概要:CO2排出の削減・吸収を促進するための認証制度
認証条件:環境省のカーボン・オフセット第三者認証基準に基づいて認証
主な認証企業:株式会社東芝、佐川急便株式会社、住友林業株式会社

カーボン・ニュートラル認証

一方、カーボン・ニュートラル認証は、カーボン・ニュートラルの取り組みが認証基準を満たしているかを審査する認証制度です。組織単位としてのCO2排出量が審査対象で、基準となる年を定めたうえで、定量的な評価を実施する必要があります。

カーボン・ニュートラル認証の基準は、ISO14061規格群に基づいており、カーボン・オフセットの認証基準に比べて厳格になっている点に注意が必要です。ただし、国際基準をベースとしているため、この認証を獲得すれば国内外に向けて取り組み内容をアピールすることができます。特にグローバルに展開している企業では、積極的に取得することでプラスの影響が大きいでしょう。

また、認証取得にあたり、組織全体での正確なCO2排出量を把握できるため、社内意識の統制やコスト削減につながる可能性もあります。

主催社:環境省
概要:カーボン・ニュートラルの取り組みが認証基準を満たしているかを審査する認証制度
認証条件:ISO14061規格群に基づき、組織のCO2排出量を審査後認証される
主な認証企業:日本興亜損害保険株式会社、三洋電機株式会社

ガバナンス(人権)関連の認証

近年では、労働環境や差別といった人権問題が日々ニュースで取り上げられ、人々の関心を集めています。人権問題を軽視することは、企業の不買運動や社会的批判などのリスクにもつながりかねません。

人権関連の認証を取得しておくことで、社会に対する責任を示すことができ、信頼度の高い企業であることをアピールできるでしょう。

なでしこ銘柄|経済産業省、東京証券取引所

なでしこ銘柄は、経済産業省と東京証券取引所が共同で実施している制度で「女性活躍推進」に優れた上場企業に与えられる銘柄です。「女性活躍度調査」の回答結果に基づき、独自の女性活躍に関する基準に則って選定されています。

女性活躍の推進に優れた企業を、投資家に「魅力的な銘柄である」と紹介して企業への投資を促し、各社の女性活躍における取り組みを加速させることを目的としています。

令和4年からは、選定基準や評価方法が大幅にリニューアルされました。女性活躍状況に関する定量調査に加え、女性活躍推進の結果をどのように企業価値向上につなげているかといった定性的な情報の観点からも評価を実施しています。

令和4年のなでしこ銘柄には、出光興産株式会社や株式会社LIXIL、双日株式会社などが選定されました。

主催社:経済産業省・東京証券取引所の共同運営
概要:女性活躍推進に優れた上場企業に与えられる認証制度
認証条件:女性活躍度調査の回答結果に基づき、独自の女性活躍に関する基準に則って選定
認証企業数:約101社
主な認証企業:国際石油開発帝石株式会社、清水建設株式会社、カルビー株式会社

中小企業でも取得しやすい サステナブル認証・賞とは

さまざまなメリットのあるサステナブル認証ですが、中小企業の取得が難しいのも現状です。認証によっては上場企業に限定されているものもあるため、中小企業は比較的取得しやすい認証を確認しておく必要があります。

ここからは「環境」「ガバナンス」「食」の3つに分野で中手企業でも取得しやすい認証・賞をご紹介します。

環境関連

まずは、環境関連のサステナブル認証を確認していきましょう。今回ご紹介する2つは、ISO14001認証の取得が難しい中小規模の事業者でも取り組みやすいので、ぜひチェックしてみてください。

エコアクション21(環境経営認証)

エコアクション21は、環境省が定めた環境マネジメントシステム(EMS)の認証制度です。企業や組織が環境に配慮した取り組みを積極的に実施するためのシステムであり、中小事業者を含むあらゆる事業者が効果的かつ継続的に環境経営に取り組めるよう策定されています。

エコアクション21では、企業が環境経営をするにあたり欠かせない項目が記されており、二酸化炭素排出量、廃棄物排出量、水使用量などが規定されています。そのほか、省エネルギーや節水、リサイクルなどの行動が必須要件として定められています。

このガイドラインの要件を満たした事業者は「エコアクション21 認証・登録事業者」となり、環境経営レポートとして取組結果が公表されます。認証を受けるためには、派遣審査員による評価を受け、判定委員会によって「ガイドラインに適合している」と認められなければなりません。申し込みは、最寄りの地域事務局で可能です。

製造業をはじめ、建設業やサービス業などさまざまな業種の事業者が取り組んでおり、全体の約90%が中小事業者であるというデータも算出されています。ISO14001の取得が難しい中小企業は、ぜひ目指してみてはいかがでしょうか。

主催社:環境省
概要:企業・組織が環境へ配慮した取り組みを積極的に実施するための方法を定めた制度
認証条件:ガイドラインで示されている二酸化炭素排出量、廃棄物排出量、水使用量などの要件を満たした事業者に認証
認証企業数:約7,443社
主な認証企業:サッポロビール株式会社、株式会社かりゆし、国立大学法人鳴門教育大学

出典:一般財団法人 持続性推進機構 エコアクション21中央事務局

グリーン経営認証制度

グリーン経営認証制度は、主に運送業界に向けた認証制度です。「交通エコロジー・モビリティ財団(エコモ財団)」が発行しているグリーン経営推進マニュアルに基づいて審査され、一定レベル以上の取り組みが認められた事業者が取得できます。

グリーン経営認証制度は、中小事業者の環境経営への取り組み推進を目的としており、適切な目標設定やPDCAサイクルを回せるようになることが狙いのひとつです。グリーン経営推進マニュアルには、業態ごとに取り組むべき課題やチェックリストなどが設定されているため、初めて環境経営に取り組む事業者にも適しています。

グリーン経営認証を取引条件としている大手企業も多く、中小運送事業者の中でも認証取得の動きが広がっています。

主催社:交通エコロジー・モビリティ財団(エコモ財団)
概要:環境へ配慮した事業を展開している運送業に対して与えられる認証制度
認証条件:グリーン経営推進マニュアルに基づき、一定条件を満たした事業者に与えられる
認証企業数:約6,220社
主な認証企業:小田急バス株式会社、東急バス株式会社、西武バス株式会社

ガバナンス関連

続いて、ガバナンス関連のサステナブル認証をご紹介します。

事業継続力強化計画認定制度(BCP認証)

事業継続力強化計画認定制度は、中小企業が策定した災害のリスク対策に関する計画を、経済産業省が認定する制度です。自然災害などに伴い事業活動が困難になった場合でも、迅速に復旧できるように適切な対策を定めることを目的としています。

認定を受けるためには「事業継続力強化に取り組む目的」「自社拠点の災害リスク認識と被害想定」「発災時の初動対応手順」などの項目を計画に組み入れなければいけません。また、認定を受けた企業は、金融支援や税制優遇、補助金の優先採択といった恩恵を受けられます。

認定を受けることで、計画の改善点なども浮き彫りになるため、一度検討してみてはいかがでしょうか。

主催社:中小企業庁
概要:中小企業が策定した災害のリスク対策に関する計画を経済産業大臣が認定する制度
認証条件:「事業継続力強化に取り組む目的」「自社拠点の災害リスク認識と被害想定」「発災時の初動対応手順」などの項目を取り入れた企業に対し、一定の基準に基づき選定
認証企業数:約5,920社
主な認証企業:株式会社Bcode、シナノ株式会社、株式会社安藤製作所

出典:経済産業省 中小企業庁資料「事業継続力強化計画認定制度」

健康経営優良法人認定制度

健康経営優良法人認定制度は「人の健康」を大切にする経営をしている法人に与えられる認証制度です。本制度には「大規模法人部門」「中小規模法人部門」「上場企業部門」の3部門があり、それぞれで健康経営優良法人を選定しています。企業の規模ごとに部門が分かれているため、中小企業でも比較的認証を受けやすいと言えるでしょう。

中小規模法人部門では、加入している保険会社の健康宣言事業に参加したうえで、自社の健康経営に関する取り組みの審査を受ける必要があります。健康経営優良法人に選定された企業は独自のロゴマークを使用することができ、ステークホルダーに向けて「環境経営」をアピールすることが可能です

主催社:経済産業省
概要:優良な健康経営を実現している企業を顕彰する制度
認証条件:保険会社の健康宣言事業への参加し、健康経営に関する取り組み審査を通過後に認証
認証企業数:約14,012社(事業)
主な認証企業:SCSK株式会社、フジ住宅株式会社、バンドー化学株式会社

出典:経済産業省資料「健康経営優良法人認定制度」

食関連

最後に、食関連のサステナブル賞についてご紹介します。認証ではなく表彰制度のため、中小企業が短期的に取り組みやすいのも特徴です。

サステナアワード(農林水産省、消費者庁、環境省)

サステナアワードとは、サステナブルな商品やサービスを取り扱う事業者の取り組みに関する動画作品を表彰する制度です。食と農林水産業に関わる消費・環境との調和・脱炭素といった、サステナブルな取り組みをテーマとしています。

審査委員会によって優秀作品が選定され、農林水産大臣賞や環境大臣賞などの10の表彰区分によって表彰されます。また、優秀作品の選定基準は全部で7つありますが、「食と農林水産業に関するサステナブルな取組を表現している作品であること」「異なる価値観を排除するものではないこと」の2つは必須項目となっています。

サステナアワードの受賞により、企業の取り組みを社会全体に周知させることができ、企業のブランドイメージ工場にもつながるでしょう。

その他、都道府県、市などでも「SDGsパートナー認証制度」などを設けているところがあるので、自社の本社が属する行政のホームページを確認してみてください。

主催社:農林水産省、消費者庁、環境省
概要:食と農林水産業に関わるサステナブルな商品・サービスを提供する企業の動画作品を表彰する制度
表彰条件:審査委員会によって選定され、10の表彰区分に基づき表彰
主な受賞企業:株式会社杉本商店、株式会社OKUTA、株式会社ライフコーポレーション

サステナビリティ・SDGs認証を取得してサステナブル経営をアピールしよう

サステナビリティ・SDGs認証は、企業のサステナブルな経営をアピールするために有効な手段のひとつです。

第三者機関から認証を受けることで、自社の取り組みが透明化され、企業の信頼度をアップさせることもできるでしょう。

中小企業での認証取得はまだ少ないのが現状ですが、サステナビリティ認証を獲得することで、ほかの企業との差別化を図ることも可能です。ぜひ今のうちから、認証の取得に向けて動き出してみてはいかがでしょうか。