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【最新版】製造業のサステナビリティ・ESGの動向、企業事例

製造業 サステナビリティ動向

持続可能なビジネスモデルの構築は多くの業種で重要なテーマとなっており、製造業も例外ではありません。

さまざまな製品を生産・提供する製造業は、輸送時のCO2排出や品質管理などの場面でESGへの積極的な取り組みが求められています。

今回は、そんな製造業界におけるサステナビリティとESGの最新動向や企業事例を探っていきましょう。

製造業の現在の市場環境

製造業界のESG動向を確認する前に、まずは現在の市場環境を把握しておきましょう。

日本の製造業は、GDP・就労人口ともに2割程度を占める重要な基幹産業です。2020年前半は、新型コロナウイルスの影響もあり売上高が減少していましたが、同年後半からは回復の兆しを見せています。

製造業界では、2021年版ものづくり白書が閣議決定されたことをきっかけに、  レジリエンス・グリーン・デジタルの3分野を軸に動向分析が実施されました。

3分野での主な動向や課題は下記の通りです。

・レジリエンス:サプライチェーン全体の強靭化
・グリーン:カーボンニュートラルへの対応
・デジタル:DXへの取り組み深化


参考:経済産業省「製造業を巡る動向と今後の課題」

たとえばグリーン分野では、2050年までにカーボンニュートラルを目指すことが表明されました。

日本における温室効果ガス算定排出量は、製造業が約8割を占めており、脱炭素化への取り組みが急務となっています。

出典:環境省・経済産業省 令和元(2019)年度温室効果ガス排出量の集計結果

製造業の排出量内訳としては、鉄鋼業が28.3%と最も多く、次いで窯業・土石製品製造業、石油製品・石炭製品製造業、パルプ・紙・紙加工品製造業、輸送 用機械器具製造業の順となっています。 

近年では、サプライチェーンでの脱炭素化を目指すグローバル大企業も出現しており、今後も動きが加速すると考えられるでしょう。

製造業におけるESGの動向

地球温暖化をはじめとする環境問題が深刻化する中、世界各国で持続可能な発展を目指した「サステナビリティ経営」に注目が集まっています。

投資家から評価されるためには、E(環境)・S(社会)、G(ガバナンス・管理)の基準を満たした製品開発・提供を行うことがポイントです。

特に製造業界は、生産工程においてCO2を多く排出する業種であり、サステナビリティへの対応が急がれています。

ここからは実際に、製造業が環境や社会に与えているインパクトと目指すべきESGの取り組みを確認していきましょう。

E:カーボンニュートラルの実現

製造業における「E:環境面」では「カーボンニュートラルの実現」に注目が集まっています。

先程からお伝えしているように、製造業は生産過程において多くのCO2を排出する業種です。

資源の生産から製品の提供・廃棄に至るまで、温室効果ガス排出量の正確なデータを把握し、対応していく必要があります。

カーボンニュートラル化に向けて取り組める対応としては、下記の例が挙げられるでしょう。

・製造過程での温室効果ガスを抑制する
・クリーン技術や省エネ設備を開発・導入する
・再生可能エネルギーを活用する
・廃棄物管理とリサイクルを徹底する

単純にCO2排出量を削減するだけでなく、資源の循環やエネルギー効率の向上など、環境課題に対する取り組みは非常に多岐にわたります。

製造業のサプライチェーンは、規模が大きくなるほど複雑なネットワーク構造になるのが特徴です。環境課題への対応に関しても、自社だけでなくサプライチェーン全体で取り組むことが重要になるでしょう。

S:製造プロセスの変革面

製造業の「S:社会面」としては、製造プロセスの監視や変革が求められています。

主に重視される項目としては、下記の通りです。

・労働者の人権配慮
・労働条件・環境の改善
・職場環境の安全性
・ダイバーシティの推進

たとえば、近年では製品の品質や価格だけでなく、製造プロセスにおける情報開示の必要性も高まっています。

労働者の長時間労働や労働環境の安全性は、多くの製造業が抱える重要課題であり、デジタル技術の活用や労働環境の透明化などによる製造プロセスの変革が求められるでしょう。

ほかにも、製造業は就労人口においても大きなポテンシャルのある業種のひとつです。
地域の雇用機会を提供し、地域経済の発展を促進することも重要なESG取り組みだと言えます。

G:デジタル技術を活用した品質管理

「G:ガバナンス・管理」に関しては、法令順守はもちろん、品質情報の適切な開示やリスクマネジメントなどが含まれるでしょう。

たとえば品質不正問題は、企業のコーポレートガバナンスが脆弱化していることの証明になってしまい、投資家からの投資基準にも大きく影響します。

企業は、DXなどのデジタル技術を活用して正確な情報・データを管理し、品質不正に対するリスクマネジメントを徹底することが大切です。

また、急速なデジタル化の波が広がる現代では、サイバーセキュリティ対策の重要性も高まっています。外部からのサイバー攻撃だけでなく、社内からの機密情報漏洩や個人情報流出の可能性も否定できません。

情報漏洩は投資家や取引先からの信頼喪失にも影響するため、企業はセキュリティ研修をはじめとする対策を取る必要があるでしょう。

製造業でサステナビリティを推進する際の注意点

ここからは、製造業がサステナビリティを推進する際の注意点をお伝えします。

今後サステナビリティ活動への取り組みを考えている企業は、ぜひ参考にしてみてください。

サプライヤーとの協力関係を確立する

サステナビリティを推進するためには、サプライチェーン全体での取り組みが必要不可欠です。

原材料の調達から製品提供までにおける環境・社会影響を把握し、サプライヤーとの協力関係を確立する必要があります。

サプライヤーとの協力関係を確立するには、コミュニケーションを強化し、サステナビリティに関する共通の目標と価値観の共有が欠かせません。

また、サプライヤーのサステナビリティに関する取り組みを評価・監視する仕組みを確立し、サプライチェーン全体でのサステナビリティ推進をサポートすることも重要です。

資源効率と廃棄物管理を重視する

製造業は、製造工程において多くの資源を使用し、提供するまでに多くの廃棄物を生み出してしまう業界です。

ESGの取り組みにおいても、資源の効率利用や廃棄物管理の最適化などが求められるでしょう。

たとえば、資源効率を高めるためには、省エネ設備の導入・再生可能エネルギーの活用といった「エネルギー効率の向上」やサステナビリティを考慮した材料調達・リサイクルを想定した製品設計といった「生産ラインの最適化」が有効です。

また、製造プロセスで発生する廃棄物を最小限に抑えることも重要な取り組みと考えられます。

廃棄物の処理方法に関しても、リサイクルプロセスを活用したり、安全で効率的な廃棄物処理施設に廃棄したりと、環境面を意識することが大切です。

資源効率の向上と適切な廃棄物管理を目指す際は、従業員への教育・研修を通じて社内のサステナビリティ意識を高めるようにしましょう。

製造業のサステナビリティ取り組み事例

最後に、製造企業のサステナビリティに関する取り組み事例を確認していきましょう。

企業事例①:ジョッゴ株式会社(革製品製造)

革製品の企画販売・生産を手がけるジョッゴ株式会社。ソーシャルビジネスを展開する株式会社ボーダレス・ジャパンのグループ会社であり、日本とバングラデシュの二拠点で社会課題の解決に取り組んでいます。

ジョッゴ株式会社が運営する「JOGGO」ブランドは、バングラデシュの貧困問題を解決するための事業です。

教育機会の不均等が原因で安定した職に就くことが難しい人々を雇用することで、経済的な自立支援に貢献しています。

また、日本で展開する「UNROOF」は、障がいを持った方々を雇用し、革職人としてのスキルを高めることで、最終的な収入の向上を目的としています。

ジョッゴ株式会社は、国境・宗教・生涯を超え、すべての人々が感動でつながる社会を目指しており、ESGの「S:社会」課題への取り組みが顕著な好事例と言えるでしょう。

企業事例②:株式会社TBM(窯業・⼟⽯製品製造)

株式会社TBMは、窯業・⼟⽯製品製造を中心に展開する、日本のスタートアップ企業です。創業当初から持続可能な循環型イノベーションをビジョンとして掲げ、SDGsを指標とした事業戦略に取り組んでいます。

特に注目されているのが、プラスチックや紙の代替となる新素材「LIMEX」の開発です。

日本でも自給自足可能な資源である石灰石を主原料とし、プラスチックなどの代替素材として製造することで、環境負荷の低減と持続可能な生産を両立しています。

またTBMは、ESGに貢献できる事業展開だけでなく、専任のサステナビリティ部門を設置しているのも特徴です。

従業員に対するESG・SDGs研究会をはじめ、SDGs達成を通じた地方創生にも取り組んでいます。

このようにTBMでは、「E:環境」や「S:社会」を中心としたESG経営に取り組んでいるのが特徴です。

企業事例③:⽇本理化学⼯業株式会社(その他製造)

日本理化学工業株式会社は、文房具や事務用品の製造・販売を行う企業です。

「E:環境」と「S:社会」を中心に、サステナビリティ活動に取り組んでいます。

たとえば環境面では、年間20万トン廃棄されるホタテ⾙殻を再利用した「ダストレスチョーク」を製造。ホタテの⾙殻の粉末を加えたことでより鮮明な発色と粉末の飛散防止を実現し、チョークの品質向上と環境課題解決を叶えています。

また社会面に関しては、知的障がい者の積極的な雇用を進めており、現在は全従業員の約7割を占めるほどになっています。

ほかにも、ユニバーサルカラーデザインによる「eyeチョーク」を製造・販売するなど、良質な教育の提供にも貢献しています。

環境負荷の少ない製品開発や従業員向けのESG・SDGs勉強会など、企業一丸となってサステナビリティ経営に取り組んでいるのが特徴です。

製造業と関わりが深い社会課題

まとめ

今回の記事では、製造業におけるサステナビリティ・ESGの動向や取り組み事例をご紹介しました。

製造業のサステナビリティへの取り組みは、地球環境と社会課題に対する責任を果たすための第一歩です。

ESGを積極的に推進することで、企業の競争力向上にもつながるでしょう。

ぜひご紹介した内容を参考に、自社のサステナビリティ経営に取り組んでみてはいかがでしょうか。