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造花活用と古紙のリサイクルで、SDGs活動を牽引。オープンアップグループの環境保全事業とは

株式会社オープンアップグループは、持続可能な社会の実現のために、気候変動への対応の一つとして環境負荷の少ない事業活動を行っています。

特に、環境保全の観点で寄与しているのが、特例子会社・株式会社ビーネックスウィズ(以下、ウィズ)が展開する「フラワーアレンジメント事業」と「ステーショナリー事業」。

これらの事業は、同グループ全体のSDGs活動をけん引し、従業員のサステナビリティ活動への関心を高めるとともに、お互いの個性や考え方を認め合うことにもつながっています。

オフィスグリーンの造花活用と再生利用

ウィズの基本的な考え方に、「人、モノを大切にする」ことがあります。
この考え方は事業にも反映されています。

2016年から開始されたフラワーアレンジメント事業では、管理費や水などのコストがかかる生花ではなく、手間をかけずにきれいさを保つことが出来るアーティフィシャルフラワー(造花)を採用しています。

アーティフィシャルフラワーは、石油由来の材料を含んでいる素材が多いものの、生花に比べ、生産時に使用するエネルギーや廃棄時に発生するメタンガスの放出量を削減できます。
また、人工素材のため耐久性に優れ、輸送などに強く、きちんと手入れをすれば10年程度使用することが可能です。さらに、水などが必要ないためメンテナンス性にも優れています。

ウィズのスタッフが作ったアーティフィシャルフラワー

野生の花は1週間ぐらい経つと枯れてゴミになってしまいますが、アーティフィシャルフラワーは『枯れることのない永遠の美』と言えます。それでも、埃を被ったり傷んだりはするので、一度回収して綺麗にメンテナンスしています。

お花の価値は素材にあるわけではなく、どのようなアレンジをするかによってどんどん変わってきます。社内では『リバイバルハート(花材の再利用)』と言っていますが、手入れをすることで、血液が循環するようにずっと命を繰り返しています。

まずは大型フラワーで表現し、回収して綺麗にし直してから、次のフラワーに合うように切り揃えて再度提供します。生花のように“制限があること”にも魅力があるので優劣はつけられませんが、アーティフィシャルフラワーは保管がきくこと、そしてやり直しがきくことがメリットです。

ウィズのスタッフが丁寧に製作するアーティフィシャルフラワーを使用したオフィスグリーンは、小さなものから大きなものまで多種多様。

季節やイベントに合わせて作られるオフィスグリーンは、グループ各社の受付や会議室などお客様や従業員が定期的に目にする場所に飾られるため、グループ全体として、サステナビリティ活動への興味関心を高めることにつながっています。

実際に、グループ会社の会議室などにオフィスグリーンの花が置いてあると、内勤者から『すごく綺麗ですね』という声をもらいます。それを本人たちにフィードバックするとモチベーションも上がりますし、逆に、グループ広報の方が障がい者スタッフにインタビューをして取り組みを記事化してくれたりもします。このような一つひとつのことがインクルージョンになっています。

グループ各社の事務所玄関などに飾られるクリスマスリース

古紙のリサイクルプロセスの構築

同グループ全体のSDGs活動において大きな役割を担っているのが、ステーショナリー事業部です。

本事業の中心は、グループ会社で使用するカレンダー・販促品・その他さまざまなステーショナリー製品を再生紙などで手づくりすること。

「毎日大量の紙が情報伝達の役割を終えて廃棄されますが、情報と切り離した紙そのものの再生について、当社では何ができるかを検討しました。グループ会社の営業で日々使用される名刺・販促品の多くは紙製品なので、その原材料として古紙を使用するプロセスを構築。今では、グループ全社の約70ヶ所から古紙を回収し、再生紙の生産(紙すき)、デザイン、印刷、裁断加工、組み立てなど、全工程をウィズが担当しています」

再生紙の配合は、グループ内古紙が約60~70%、強度を保つための使用済みダンボールが約25~35%。再生紙の約95%にリサイクル原材料を使用しています。

「紙はすべてが再生紙として生まれ変わるわけではありません。例えば、色紙は着色用に取っておかなければなりませんし、白い紙が欲しいと言われたらグレーを混入させてはいけません。そのため、紙を裁断する前にあらかじめ白黒とカラーに仕分けています」

事業開始当初は、1ラインから試作をスタートしましたが、試行錯誤を繰り返しながら、現在は量産対応として3ラインで稼働しています。

その結果として、2021年現在、年間約5tの紙を回収し、そのうち12%を製品に変換。今後は、回収量を年間10t、製品変換率を20%へと高めていくことを目標としています。 

再生紙の生産に必要な「紙すき」の様子

また、製作過程においても、可能な限り環境にやさしい方法が取れるよう、模索しました。例えば、製作過程で使用した水については、すべてろ過処理を行っています。

「飲める水としていただいた水は、飲める状態にして地球にお戻しするというのが当社の考え方です。紙すきに使用した水は、二重のろ過処理を経て限りなく汚濁物質を排除し、排水しています。この時に使用する水を含めて一日の水使用量は約320リットル程度となり、月間では約6,500リットルの水使用に抑えています。これは、家庭の一人当たりの月間水使用量*とほぼ同量です。ここにも『人、モノを大切にする』という考えを反映しています」

*1:東京都水道局ホームページ 家庭でひとりが1日に使う水の量(令和元年度)より

これらの取り組みが社外でも評価された結果、同社は2021年9月に「さがみはらSDGsパートナー」、2022年5月に「かながわSDGsパートナー」に認定されました。

「さがみはらSDGsパートナーに認定されているので、他のパートナー企業ともいろいろな形で協業していこうという動きがあります。ただ、私たちのノウハウや知見がどのように他社で活かせていただけるかまだわかりませんので、まずは意見交換から始めようと思っています」

*2:SDGsの推進に役立つ事業を展開している企業・団体を神奈川県(相模原市)が認定登録する制度。神奈川県では802件(2022年9月末現在)、相模原市では685件(2022年7月現在)の企業等が認定されている。

今後はグループ各社のほか、業務受注先の拡大により他企業との協業も予想される同社。

環境保全の取り組みが広がるとともに、障がいの有無という垣根を越えて循環していく社会になることに期待が高まります。