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障がい者の職域開発とグループ全体のコストダウンに貢献。アウトソーシング事業が果たす役割と展望

株式会社ビーネックスウィズは、株式会社オープンアップグループの特例子会社として障がい者を中心に雇用する会社。

「幸せな仕事を通じてひとりひとりの可能性をひらく社会に」のグループビジョンを体現すべく、障がい者の職域開発に力を入れています。

職域を広げるにあたってターニングポイントとなったのは、株式会社ビーネックステクノロジーズからのバックオフィス業務の受託です。

今回は、同社の職域開発における取り組みや考え方、さらに、特例子会社の職域開発が、グループ全体にどのようなインパクトを及ぼしているかについて伺いました。

時間の省力化・合理化と同時に、障がい者スタッフの能力も向上

株式会社ビーネックスウィズ(以下、ウィズ)は、事業を拡大していく中で、2018年3月より精神障がい者の採用を中心とした新たな事業としてアウトソーシング事業を開始。

まずウィズで受託したのが、グループ会社の一つである株式会社ビーネックステクノロジーズ(以下、BNT)に医療機関から紙ベースで大量に送られてくる全派遣社員の定期健康診断結果を電子データ化する業務でした。

この結果、特定社員の過去から直近までの診断結果が瞬時に把握できるようになり、可視化しやすくなりました。

現在では、派遣契約などさまざまな書類についても依頼があり、この電子データ化業務はアウトソーシング事業の一つの柱となっています。

また、2019年11月より営業サポート業務として取引先企業様との契約事務代行業務を受託。

この事務代行業務においては、BNT社内で最終承認された契約書の印刷・製本から、BNTの契約印の捺印、取引企業への郵送まですべてをウィズが対応。

その後、取引先より返送された契約書は、電子データ化した上でBNT法務部のデータベースに格納し、契約書原本を指定の保管倉庫へ発送しています。

この一連の業務受託は、BNTの営業部と総務部にとって日常業務に欠かせない強固な支援となっています。

これらの業務を受託するにあたり、ウィズが構築したのがBNTと同レベルの機密情報、個人情報保護の体制です。2022年11月にはPマークの取得も果たしました。

「ウィズのアウトソーシング事業は、BNTの事務作業に要する時間の省力化・合理化に貢献すると同時に、障がい者スタッフの事務処理能力の向上にもつながっており、双方にとって欠くことのできない関係になっています。今後、他のグループ各社への展開を視野に更なる拡大を目指していきます」

個性を理解・把握することが、職域を広げ・深めることの第一歩

BNTの事務処理業務の受託開始後は、障がい者スタッフの職域開発として受託業務の種類と幅の拡大や業務構造の変革に対する取り組みを進めています。

一つめは、派遣契約の関連業務です。

これは派遣技術社員の人数が増えるにつれて処理件数が増えていくもので、ほとんどの派遣契約が3ヶ月更新のため、毎月相当数の関連業務が発生します。これをウィズで引き受け、現在では半数以上を行っています。

この業務は、BNTのコストダウンにも貢献しており、オープンアップグループとしてインパクトの大きい業務となっています。

もう一つは、派遣技術社員の入社管理業務です。

派遣技術社員の入社数は現在飛躍的に増えており、BNT業務推進部と連携して関連書類の発送業務や登録業務を行っています。

この登録業務の遂行にはBNT本体の基幹システムに直接アクセスする必要があるため、セキュリティ面など超えるべきハードルがありました。

「受託前に、『ウィズの組織理解』や『障がい者スタッフの特性理解』を丁寧に説明し、知らないことで生じる漠然とした不安を緩和・解消に注力しました。現在も常に業務の範囲を明確に限定することで、精度と納期が担保できる形で受託することを心掛けています」

また、ウィズの指導員や障がい者スタッフに対しては、BNTとは一つのチームであり、成果を共に上げていく仕事仲間であるとの意識を醸成し、「一部の業務受託をしているだけ」というような考えをなくし、共に意見を出し合える関係の構築に努めています。

これらの積み重ねにより、他のグループ会社への新たな業務の受注に結びついています。

また、業務の拡大に加え、障がい者スタッフ個々人の特性やスキルを見極め、特性・スキルに合った仕事を割り振り、それぞれの仕事を100%達成できる体制の整備に努めてきました。

例えば、新規障がい者スタッフの候補者を2日間現場に配属して実際に仕事をしてもらう機会を提供。本人が漫然と抱いていた仕事のイメージとの乖離をなくすとともに、仕事に適しているか否かを互いに判断し、ミスマッチを防ぐことで、永く安定して働いていただけるようにしています。

「特例子会社が職域を広げていくためには障がい者と共に過ごす時間を増やし、障がいそのものの理解を深め、個人の特性を理解することが必要だと考えます。障がいに限らず、一般的に誰もが持っている個性の理解・把握なくして、職域の可能性を広げる・深めることはできないと思っています」

BNTをはじめとしたグループ会社のバックオフィス業務を受託することで、グループ全体のコストダウンに寄与した同社。同時に、スタッフのスキルアップやモチベーションの向上にもつながっています。

今後はスタッフの評価制度を確立し、「従業員が日本で一番働きやすい会社」に向けてさらなる飛躍をめざします。