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NPOへの寄付金はどう役立っている?|竹村コーポレーションインパクトレポート2021より

寄付は、NPO法人や公益社団・財団法人、ボランティア団体などの非営利組織が社会課題の解決に取り組むうえで重要な活動原資の一つ。

企業がNPO法人などに寄付することで、社会的インパクトが確実に生み出されています。

今回ピックアップする寄付企業は、株式会社 竹村コーポレーション(本社:東京都新宿区、代表取締役:今福浩之氏、以下「竹村コーポレーション」)。

2021年7月から12月にかけて、「生物多様性」「沖縄県」「若者の孤独」「教育格差」「ひとり親世帯」「働き方とワークライフバランス」のテーマで活動されている団体をそれぞれ募集し、従業員投票により選ばれた計6団体に各40万円、計240万円の寄付を行いました(2022年も継続して寄付中)。

本記事では、竹村コーポレーションの寄付先5団体*の、寄付金の活用方法や活用後の変化についてまとめました。

「社会課題のために何かやりたいけど、寄付によって生み出されるインパクトがいまいち想像できない」という方は、ぜひ読んでいただけるとうれしいです。

*1団体はインパクトレポート未作成のため、本記事に未掲載

森林保全に必要な作業道を市民が40m整備

寄付先①:NPO法人 森づくりフォーラム

森づくりフォーラム(活動拠点:全国)では、1997年より神奈川県相模原市の国有林で森林管理署と「ふれあいの森」協定を結び、「フォレスト21さがみの森」にて市民参加の森づくりを行い、“モデルフォレスト”として実践を続けています。

作業道を整備するイベント参加者の皆さん

寄付によって生まれたインパクト

「フォレスト21さがみの森」では、月2回の定例活動のほか、企業の社会貢献イベントの実施や環境教育イベントを定期的に開催。
今回の寄付金40万円は、2021年10月から12月にかけて実施された「防災×森づくり! ―自然共生社会に向けて市民が実践できる知恵・技を学ぶー フィールド編」のイベント開催に活用されました。

・研修イベントの実施回数:2回
・研修イベントを通じてはじめてフィールドに訪れた人の数:25名
・研修イベント参加者の合計人数:70名
・研修イベントで整備を実施した作業道(*1)の距離:40m
・研修イベントで調査・観察できたフィールドの面積:0.2ha

*1:森林保全のためには、定期的な森林の手入れや間伐などを適時実施していかなければなりません。間伐した木や伐採した木を搬出するために、森林作業道が必要になります。

NPO法人 森づくりフォーラム 活動レポート(2021.12.28)より一部抜粋

参加者の中には、普段から森林保全のボランティア活動をしている参加者が複数名おり、そのうち2名は今回の活動内容をレポートにまとめ、ブログや関係団体への発信を行いました。
この発信によって、学んだ内容が同じ志をもつ他団体にも共有され、より一層この活動を広く知っていただくことができました。

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子どもたちが歩いて行ける居場所を5軒増やし、孤立を防止

寄付先②:NPO法人 Matsudo子どもの未来へwith us

Matsudo子どもの未来へwith usでは、千葉県松戸市内すべての小学校区に子ども食堂をはじめとした子どもの居場所を開設するための実践者支援(立ち上げ資金の助成やノウハウの提供、研修など)を行っています。

また、10代後半のハイティーン世代の居場所づくりが抜け落ちていることを懸念し、高校生世代の子どもたちが自由に使える無料フリースペースのモデル事業「Withus(ウィザス)北松戸」にも力を入れています。

高校生たちの居場所の様子

寄付によって生まれたインパクト

子どもの居場所の立上げ助成金:1軒3万円×5軒=15万円
2022年内に5軒(21年実績5軒)を設立することで、学区充足率(*2)を現在の48.8%から60%(*3)とし、子どもたちが歩いて行ける距離の居場所を増やし孤立を減らすことができる。

フリースペースの維持費への充当:25万円
月間維持費(約13万円×2か月分)の負担が軽減することで、利用者への飲食他様々なサービスを提供することができる。

*2:学区充足率とは、子どもたちの居場所が1箇所以上ある小学校区数/小学校総数
*3:<参考>千葉県全体の学区充足率(「こども食堂」に限る):19.52% [千葉県子ども食堂連絡会(2020.08-2021.11)]。松戸市内は平均より圧倒的に高いことがわかる。

NPO法人 Matsudo子どもの未来へwith us 活動レポート(2022.2.25)より一部抜粋・編集

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学習機会に恵まれない子どもたちにたくさんの経験を

寄付先③:NPO法人 東海つばめ学習会

東海つばめ学習会(活動拠点:愛知県)では、学習機会に恵まれないが、勉強したいという気持ちがある小学生から高校生を対象に、無料で勉強を教えています。

最大の特徴は、運営メンバーがすべて平日勤務の会社員で構成されており、週末のお休みを使って活動していることです。有志のボランティア講師の皆さまが、報酬なしで勉強を教えてくれているため、完全無償の学習塾が実現できています。

子どもたちが一緒におやつの時間を楽しんでいる

寄付によって生まれたインパクト

東海つばめ学習会が運営する学習塾5教室(勝川、瑞光寺、高蔵寺、トレジャーシップ、豊橋教室)、のべ生徒約20名・講師スタッフ約20名程度が一堂に会する交流会(2回)を開催しました。

学習塾5教室合同の合宿を2回実施しました。

【内訳(いずれも実施前概算)】
①会場費:50,000円(豊橋教室メンバーの前泊費40,000円+学習会会場費10,000円) ×2回
②交通費:30,000円(生徒・講師とも) ×2回
③合宿中食費:50,000円(生徒・講師とも。朝・昼・晩の3食を予定) ×2回
④一般社団法人ネオパレット代表・平野氏による特別講義費40,000円(交通費+前泊費30,000円、謝礼10,000円)
計 300,000円

残る100,000円は、おおむね以下の通り使用したいと考えています。
⑤主要5教科の教科書準拠参考書一式:90,000円(勝川および豊橋にてそれぞれ1式ずつ。5教科x3学年x2拠点x@3,000として概算)
⑥ホワイトボード用ペン、生徒用名札など備品:10,000円

NPO法人 東海つばめ学習会 活動レポート(2021.12.28)より一部抜粋・編集

今回の寄付金により、子どもたちが親元から離れ、真剣に勉強しつつ、普段交流の少ない地域の子どもたちと楽しむ機会を提供することができました。

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アニマルシェルターの維持に貢献、動物殺処分を防止

寄付先④:特定非営利活動法人NPO法人La-Vida

La-Vida(ラ・ヴィーダ)は、絶滅が危ぶまれている天然記念物の琉球犬の保護活動や、生息地の環境破壊や乱獲によって生息数を減らしている希少動物の保護繁殖研究、保健所に引き取られた動物の殺処分防止や飼育困難になった特殊動物(エキゾチックアニマル)の引き取りをおこなっている動物保護団体です。

シェルターで保護されている犬・猫

寄付によって生まれたインパクト

沖縄県宮古島にあるアニマルシェルター(*4)光熱費など 7ヶ月分(2021年10月〜2022年4月支払い)に使用

《内訳》
・電気料金 33万円(10~4月支払い)
・水道料金 4万円(10~4月支払い)
・ガス料金 3万円(10~4月支払い)
※上記金額は予算ベース、計40万

*4:アニマルシェルターとは、人間によって行き場を失ってしまった動物を一時的に保護し、家庭動物としての訓練や、怪我などの治療、不妊・去勢手術、ワクチン接種などをおこない、新たな飼い主と動物との出会いをサポートする役割を担う。

特定非営利活動法人NPO法人La-Vida 活動レポート(2021.12.28)より一部抜粋・編集

アニマルシェルターで保護している動物たちを快適な環境で飼養することが出来ており、光熱費がかかる冬は特に助かっているそうです。

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シングルマザーの現状を伝える記事と在宅業務の増加に貢献

寄付先⑤:特定非営利活動法人 ひとり親ICT就業支援センター

ひとり親ICT就業支援センター(活動拠点:佐賀県)では、佐賀県内のひとり親家庭の親や障がい者をはじめとする、一般就労が厳しい人たちに対して、業務を委託したり、就業のための教育やIT訓練することにより、就業困難者の生活の向上を図り、雇用機会の拡充を支援する活動を行っています。

ひとり親家庭の親など、一般就労が難しい方に行っている就労支援の様子

寄付によって生み出されたインパクト

40万円はすべて、ひとり親の方の作業委託費としてお支払いします。
主に、以下の2点に使用予定です。

・在宅就労報酬額の上乗せ  
・Facebookの『シングルマザー子育て奮闘記』の掲載報酬費用

特定非営利活動法人ひとり親ICT就業支援センター 活動レポート(2022.2.25)より一部抜粋

団体のFacebookに掲載されている『シングルマザー子育て奮闘記』の執筆報酬費用に充てることにより、2,000円/日×200日間の掲載が可能となり、曜日ごとの担当計7名のシングルマザーに対し、1人あたり約57,000円の報酬支払いが可能になりました。

この『シングルマザー子育て奮闘記』は、同団体が活動を応援していただく手段の一つとして活用している「ふるさと納税」を募る際に必要な、ひとり親世帯(シングルマザー)の現状を知ってもらう機会を創出しています。
寄付金を執筆の報酬に充てることにより、記事件数が増加し、団体の活動を好循環させる仕組みをつくることができました。

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まとめ

このように、寄付金の使い道を掘り下げて見ることで、各社会課題の解決に必要な要素が自ずと見えてきます。
また、「団体がどの部分の解決に力を入れているのか」もわかるようになってきます。

寄付をお考えの方は、気になる団体の寄付金の用途をHPなどで確認する or わからない場合は直接問い合わせることから始めてみてはいかがでしょうか。

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竹村コーポレーションが寄付時に利用したプラットフォーム
ICHI.COMMONS株式会社が運営する『ICHI. SOCIAL』:
本プラットフォームで展開中の『わくわく寄付コンペ』では、様々な社会課題に取り組む団体に対し、企業の従業員投票によって寄付先を選定できます。
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各団体のレポート・詳細は以下からご確認いただけます。
https://ichi.social/corps/takemura/reports/2021

今後もpress.ichicommons.comでは、「わくわく寄付コンペ」を通じて企業がNPO・NGOに寄付したお金がどのように社会に役立ち、インパクトをもたらしているかを“見える化”していきます。