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SDGsと、SDGsを越えてICHI COMMONSが目指すこと

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SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)とは、国連が発表した、2030年までに持続可能でより良い世界を目指す国際目標のことです。

「何やら最近、SDGsが大切らしい」と知っている方は、多いかもしれません。

けれど、「貧困をなくそう」「飢餓をゼロに」「すべての人に健康と福祉を」などと羅列された文言を眺めていても、どこか遠い世界のこととしか思えない…。

そんな方もいらっしゃるのではと思います。

ここでは、あえて、SDGsの詳しい内容に触れることはしません。

「いい社会」をつくっていくためにSDGsをどう活用すればよいか、そして、当メディアを運営する ICHI COMMONS が何を目指しているのかについて、代表・伏見崇宏が語ります。(編集部)

はじめに

2015年9月、国連はMDGs(ミレニアム開発目標)の後継として、SDGsを発表しました。

それ以来、SDGsの認知向上、金融商品への活用、社会起業家の共通言語としての活用のために、全国でお話しさせていただく機会を多くいただきました。

そのうえで、私がSDGsについて感じること、その存在意義、不足していると感じる点について、書かせていただきます。

「どうすることもできない」と感じる課題の解決のために

これを読んでいる方は、地域をもっとよくするため、あるいは家族のために、「あんなことやこんなことを地域でできればいいのに」と感じたことはないでしょうか?

それ以上に、「どうにかして、あんなことやこんなことが実現されなければ、地域が大変なことになる」と感じたことはないでしょうか?

そして、空しくも、必要とされる手続きや、自分が変えられない要因のために、「どうすることもできない」と感じたことはないでしょうか?

私が思うに、SDGsは本来、その「どうすることもできない」とみんなが感じている課題の解決に向けて、行政、民間、ソーシャルセクターが協力しあうための共通言語として存在しているのです。

SDGsは大きすぎて数段階の翻訳が必要

SDGsには、2030年までに世界が持続可能になるためのアクションについて、大枠のゴールが17個、その下に169個の詳細なターゲットが存在します。

なかには、日本のような先進国には該当しない項目も存在します。

とはいえ、もともと途上国支援の精神を持っていたMDGsとは異なり、SDGsは先進国ならびに民間セクターも介入する前提でつくられています。

世界中の政府機関だけでなく、民間企業、市民社会、研究者をはじめとした多様なステークホルダー1000万人以上が、3年間の時間と議論を通じて作成に挑んだ、社会全体の持続可能性を追求する未来予想図です。

このような内容を国連が取りまとめ、世界に発信したのは、前代未聞のことです。

世界の社会課題が、いかに危機感をもって取り組まなければならないポイントにきているか。それを知らしめ、警鐘を鳴らした、重要な出来事だったと感じます。

ただ、問題は、SDGsがあまりにも大きな課題を対象としているために、一人ひとりが自分の生活に落とし込むには数段階の翻訳が求められることです。

一人ひとりが落とし込むこと、行動に移すことができなければ、社会の持続可能性への進展はないままに終わってしまいます。

SDGsを知らない人もまだ多い

近年、SDGsという言葉はバズワードのように、官公庁、地方自治体、民間企業で使われるようになっています。

SDGsが、経済活動と、その基盤である社会と環境の持続可能性を実現するためのものと認識され始めていることは、素晴らしいと思います。

とはいえ、私がかつて勤務していた新潟の工場や、SDGsについて講義を行わせていただく全国の都道府県では、SDGsについて聞いたことがない方も多く、「最近いろんな人がレインボー色のバッジをしている」という程度の認知で終わっています。

SDGsは、一人ひとりが感じている日々の地域・社会の課題に紐づけづらいのです。

世界共通言語としてのSDGs

そこで次に必要となるのは、誰もが具体的に地域・社会の課題解決に携わることのできる機会や、それがSDGsのような広義の目標につながっていることを体感できる場が増えることだと思います。

例えば、経済的事情によって塾に通えない子どもたちに勉強を教えるボランティアは、SDGs4「質の高い教育をみんなに」と、SDGs1「貧困をなくそう」に関連した取り組みと言えると思います。

その場合、個人的には、その取り組みがSDGs各目標の細かいターゲットにどれだけ正確に当てはまるかという厳密な評価は必要ないと思っています。

そうではないところに、SDGsの価値があると思うのです。

SDGsを知っていれば、世界のどこで誰と話をしても、持続可能な世の中のために自分がやっていることを紹介できる。

どんなに些細と感じる取り組みであっても、それを通して目指している社会について、共通の言語でコミュニケーションを取ることができる。

たとえ異なる場所にいたとしても、同じ課題に取り組む者同士が、それぞれのリソースを活用して連携したり、そこから共通の価値が生まれたりする可能性がある

そんなふうに、SDGsを通して、より多くの人たちが地域・社会課題の解決に携わり、その輪が広がっていくための素地をつくることができると思うのです。

SDGsを越えて、ICHI COMMONSが目指すこと

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SDGsは、社会全体として求められる課題解決に関わることです。

しかし、SDGsという共通言語を越えて存在する社会課題もあるはずです。

それは、まだ社会的にはあまり問題として顕在化していない、しかし、問題だと感じている人が多くいる、そんな潜在的な課題かもしれません。

そうした潜在的な社会課題の解決に取り組む人たちや、「それはたしかに課題である」と感じる人たちが“見える化”されることで、SDGsとは結びつかなくとも多くの人が解決の必要を感じる課題が、解決に向かうのではないでしょうか。

誰が、どのような社会課題の解決に向けて、どのような取り組みを行っているのか。

なぜ、どのように、その人たちは課題解決に携わっているのか。

まずは、そうした人たちや取り組みを“見える化”するのが、ICHI COMMONSです。

さらに、“見える化”された人たちや取り組みを知った人が、「興味がある」「自分も関わりたい」と感じて、ひとり、またひとりと、輪に加わるようになればと考えています。

その積み重ねが、地域を越えた社会課題の解決につながり、将来的には、課題先進国として日本が世界に提供できる価値につながると信じています。

ICHI COMMONSは、そのような社会・地域課題における一人ひとりの意識の“見える化”を通して、あらゆる課題の解決者と、課題に共感する人たちを応援します。

途方もないプロセスですが、その一歩目を、ICHI COMMONS株式会社で始めていきます。

伏見崇宏

伏見崇宏

Entrepreneur

シンガポール生まれ、アメリカ南部アラバマ州で幼少期を過ごし、12歳の時に日本に帰国。慶應義塾大学在学中に教育系NPO HLABの立ち上げに携わり、卒業後はゼネラル・エレクトリックに入社。同社CFO育成プログラムで東京や新潟の工場にて各事業部のプロジェクトを推進。その後、社会的投資の中間支援をする一般社団法人C4に転職し、同時に日本の上場企業に投資をする米系ファンドにてアレンジャー業務に従事。国、産業、セクターを横断した経験を活かし持続可能な社会の仕組みを創りたいと、2020年1月に ICHI COMMONS を創業。