「従業員に社会貢献活動への参加を促しているが、実際、効果はあるのか?」
こんな疑問をもつ、経営者やCSR担当者もいるのではないでしょうか。
この記事では、社会貢献活動が盛んなカルビー清原工場(栃木県宇都宮市)のフルグラ製造1課に所属する岩崎晃司さんに、キッズハウス・いろどりと連携して取り組む「こども食堂」のイベントにスタッフとして参加した時のことについてうかがいました。
活動前後の心境の変化や、印象に残っているエピソードなどについてのお話は、今後の参考になること間違いなし。
これから他組織と連携しながら社会貢献活動に取り組もうと考えられている企業の参考になれば幸いです。
目次
お話を訊いた方 岩崎 晃司 さん
KoJI IWASAKI
カルビー株式会社 生産カンパニー
東日本生産部 清原工場 フルグラ製造1課
こども食堂には、自分の知らない世界があった
――さまざまな活動がある中で、なぜ「こども食堂」イベントへの参加を選ばれたのですか?
岩崎さん:私はもともと子どもが大好きで、ちょうどこども食堂がニュースで頻繁に取り上げられているタイミングでした。やはりボランティアは仕事ではなく休みの日を使って行くことも多いので、自分の興味関心は大事な要素でした。
会社からも年に1回は参加しようと言われていたので、最初は正直、暇があるから出てみようかなくらいの気持ちでした。
――おそらく参加される中で意識の変化があったからこそ継続的に参加されているのだと思いますが、きっかけはあったんですか?
岩崎さん:そうですね。一度参加するとすごく楽しくて、自分の知らない世界というか、普段の生活では絶対体験できないようなことが体験できるところが面白いなと思い始めました。そこからは社会貢献に対しての興味もどんどん出てきましたね。
7人に1人が貧困家庭、発見がプラスに
――イベントに参加する前に、こども食堂が開かれている背景などを学ぶ機会はありましたか?
岩崎さん:事前にはそこまで詳しく知らなかったんですが、実際にイベントに行った時にキッズハウス・いろどりのスタッフの方に今の子どもを取り巻く状況など、詳しいお話を聞かせてもらいました。
自分の周りではあまりそういう話を聞いたことがなかったので、今、子どもの7人に1人が貧困家庭ということを知って驚きました。
そういう新たな知識や発見は、自分にとってもプラスだったと思います。
――1番印象に残っているエピソードは何ですか?
岩崎さん:こども食堂のお祭りに参加してくれた子どもたちの楽しそうな姿や笑顔で遊んでいる姿はどれも印象的ですが、ある兄弟に「エプロンつけて」と可愛く頼まれて、慣れない手つきで結んだのは良い思い出です。
エプロンを結んでいる姿が写真にも残っていたみたいで、この活動の発起人の橋本にも「疑似パパ体験みたいだね」と言われました(笑)。
あとは、ある女の子が僕のことをかなり好いてくれているみたいで、ずっと手をつないでいるぐらい離れないんですよね。懐いてくれることもうれしいですし、そんな子どもたちと触れ合うことで僕も元気をもらっています。
お客さまと直接つながることで、仕事のモチベーションアップに
――こども食堂のイベントに参加したことで、ご自身にどんな変化がありましたか?
岩崎さん:イベントが終わった後にカルビーのお菓子を配ったりしているのですが、子どもに限らず大人も喜んでくれるので、仕事のモチベーションがすごく上がったと思っています。
私自身、製造の現場で働いているので、お客さまに喜んでいただける商品をお届けしたいと改めて感じさせられたというか、気合いが入りましたね。
直接商品を手にしてくださるお客さまと触れ合う機会が普段はなかなかないので、地域の人と触れ合って、実際にその人が喜んでいる姿を見ることで得られるものはたくさんあると感じています。
――こども食堂などに携わり始めてから、個人的に関わるようになった活動はありますか?
岩崎さん:正直コロナ禍ということもあり、直接個人的に関わることは今のところできていないです。
ただ、中途でカルビー清原工場に入社してからは、カルビーの一員としてたくさんの社会貢献活動に携わってこれたのかなと思っています。
もし何かきっかけがあればもっと活動の輪を広げたい想いがあるので、コロナが収束したら、すぐに前と同じような活動ができるように今から準備しています。
参加することで「もっとやりたい」という気持ちが沸き起こる
――企業に勤めながら社会貢献活動をするにあたって、ネックになっている部分はありますか?
岩崎さん:基本的に活動は土日なので問題ないですし、仮に平日に活動がある場合でも「ボランティア休暇」という制度があるので問題ないと思っています。
カルビーには社会貢献活動に関する制度や仕組みがあるので、もっと積極的に取り組んでいきたいと思っています。
今はコロナ禍で活動ができていないので、社会貢献委員会でも「まだ活動できないかな」という会話をしていて、もう本当にみんなが再開を待ちわびていますね。
――もっと多くの従業員を活動に巻き込むために工夫していることはありますか?
岩崎さん:初めての人だったら、「とりあえず1回行ってみようよ」「一緒に行こう」と誘ってみることが一番だと思います。なかなかひとりだと行きづらいと言っている人は多いので、自分も一緒に行くから行こうというスタンスで誘います。
1回参加したら、ほとんどの人が「楽しかった」とか「また別の活動にも参加してみたい」と思って、どんどん社会貢献の輪が広まっていくと思いますね。