ICHI COMMONSは東京都と協働で、パラスポーツ競技団体と企業の連携を促進するオンラインマッチングプラットフォーム「TEAM BEYOND パラコネクト」を運営しています。本記事では、このプラットフォームを通じて実現した初の連携事例として、株式会社オープンハウスグループと株式会社QDレーザの取り組みをご紹介します。
目次
TEAM BEYOND パラコネクトとは
「TEAM BEYOND パラコネクト」は、東京都とICHI COMMONS株式会社が協働して2025年8月に開設したオンラインマッチングプラットフォームです。
競技団体のニーズと企業のアセット(提供できるノウハウや資源)を可視化し、コーディネーターによる伴走支援を通じて最適な連携を実現します。従来は年一回の交流会で行われていたマッチングを、年間を通じて支援する仕組みに発展させ、障がい者スポーツ環境の充実や競技団体の基盤強化を図るとともに、企業の社員エンゲージメント向上や社会共創活動の推進にもつながる新たな仕組みです。
>> パラスポーツ競技団体 × 企業の連携を加速!「TEAM BEYOND パラコネクト」がスタート|ICHI COMMONS
オープンハウスとQDレーザのマッチング
TEAM BEYOND パラコネクトの先行事例となったのは、株式会社オープンハウスグループ(以下、オープンハウス)と、網膜投影技術を開発する株式会社QDレーザ(以下、QDレーザ)との連携です。
オープンハウスは「挑戦する人や組織を応援する」という企業姿勢を体現する「O-EN HOUSE PROJECT」を展開し、東京ヤクルトスワローズのトップスポンサーとして「応燕プロジェクト」を継続的に実施しています。一方のQDレーザは、富士通研究所からスピンオフしたベンチャー企業で、世界初の網膜投影技術を製品化し、見えにくさのある人々の視覚支援につながる新たな選択肢を提供してきました。
今回のマッチングでは、オープンハウスが有するプロ野球の冠協賛試合というアセットと、QDレーザが開発した視覚支援機器「RETISSA ON HAND(レティッサ オン ハンド)」というアセットが掛け合わさることで、見えにくさを感じる子どもたちに新たな観戦機会を提供する形となりました。
「見える野球観戦体験会」の実現

オープンハウスとQDレーザのアセットで実現したイベント
2025年8月20日、明治神宮野球場で開催された「応燕ハウスナイター」において、「O-EN KIDSチャレンジ『野球観戦会』」が実施されました。このイベントは、オープンハウスが年1回開催している冠協賛試合の場を活用し、見えにくさを感じる小学生4名とその保護者を招待して行われました。
オープンハウスは2025年1月から、子どもたちがさまざまな体験を通じて探求心を育み、挑戦することで明るい未来をつくっていくことを応援する取り組み「O-EN KIDSチャレンジ」を開始。野球や陸上の体験イベントでは、障がいがある子どもたちに競技に挑戦していただきました。今回は「観る」楽しさに焦点を当て、これまで球場に足を運ぶ機会がなかった見えにくさを感じる子どもたちに、最新のテクノロジーを活用した新たな観戦体験を提供することを目的としました。
当イベントにおいて、QDレーザは、網膜投影技術を用いた視覚支援機器「RETISSA ON HAND」を提供。この機器はオートフォーカス内蔵カメラで撮影した映像を、安全なレーザーで網膜に直接投影する仕組みで、最大7倍のズーム機能やコントラスト調整機能を備えています。すでに複数の美術館や劇場への導入実績があり、見えにくさを抱える人々の文化・スポーツ体験を支援するなど、”観る体験”を広げる技術として注目されています。

イベント当日の様子
参加した子どもたちは試合開始前にスタメンキッズとして選手を迎え、花束贈呈の大役を務めました。観戦はバックネット裏の2階席で行われ、「RETISSA ON HAND」を使って東京ヤクルトスワローズ対読売ジャイアンツの熱戦を観戦しました。

視力が弱く、普段は単眼鏡や拡大読書器を使用しているという小学生の参加者は、スワローズの大ファンで、普段はテレビで応援していましたが、球場での観戦はこの日が初めてでした。「選手や背番号、遠くの字がよく見えました。単眼鏡に比べて、ぼやけが少ない」と感想を語る場面も。
保護者からは「見えづらかったものが見えるようになることで、子どもが意欲を持ってくれるようになる」「見て楽しむ行事に子どもを連れて行きたくなります」といった声が寄せられました。子どもたちが、スポーツを楽しむ選択肢を増やすきっかけの場となりました。
>> 見えにくさを感じる子どもたちへ「見える野球観戦体験会」を開催しました|オープンハウスグループ
TEAM BEYOND パラコネクトでは、引き続きさまざまな連携事例の創出を支援してまいります。