ICHI COMMONSは東京都と協働で、パラスポーツ競技団体と企業の連携を促進するオンラインマッチングプラットフォーム「TEAM BEYOND パラコネクト」を運営しています。本記事では、このプラットフォームを通じて実現した連携事例として、クライムファクトリー株式会社と日本パラ・パワーリフティング連盟の取り組みをご紹介します。
選手・コーチ・スタッフ間の情報共有とコンディション管理を支えるプラットフォーム「Atleta(アトレータ)」を展開するクライムファクトリーと、「すべての体に、最高記録は眠っている。」をミッションに掲げる日本パラ・パワーリフティング連盟。企業とパラスポーツ団体の交流会での出会いをきっかけに、強化現場の運営課題を共に解決する連携が2026年5月にスタートしました。
目次
TEAM BEYOND パラコネクトとは
「TEAM BEYOND パラコネクト」は、東京都とICHI COMMONS株式会社が協働して2025年8月に開設したオンラインマッチングプラットフォームです。
競技団体のニーズと企業のアセット(提供できるノウハウや資源)を可視化し、コーディネーターによる伴走支援を通じて最適な連携を実現します。従来は年一回の対面交流会で行われていたマッチングを、年間を通じて支援する仕組みに発展させ、障害者スポーツ環境の充実や競技団体の基盤強化を図るとともに、企業の社員エンゲージメント向上や社会共創活動の推進にもつながる新たな仕組みです。
クライムファクトリーと日本パラ・パワーリフティング連盟のマッチング
今回ご紹介するのは、選手データとチームコミュニケーションのプラットフォーム「Atleta(アトレータ)」を提供するクライムファクトリー株式会社(以下、クライムファクトリー)と、日本パラ・パワーリフティング連盟(以下、連盟)との連携です。
連盟は強化合宿や大会参加に関する連絡・情報共有を行う中で、LINE、メール、Googleフォーム、ホームページなど複数のツールを併用していました。その結果、選手からは「どこを確認すればよいのか分かりにくい」という声があがり、事務局や強化スタッフ側でも、資料管理や参加確認、情報更新に多くの手間が生じていました。選手ごとの情報が分散し、回答漏れや連絡の見落としが起こるなど、限られた人員で強化事業を運営する上での課題を抱えていたといいます。
こうした中で連盟が求めていたのは、単なる資金的な支援だけではなく、競技団体が抱える課題を共に解決してくれるパートナーでした。そして、企業とパラスポーツ団体の交流会で出会ったのがクライムファクトリーです。Atletaが強化現場の課題解決につながる可能性を感じるとともに、サービスを提供するだけでなく、連盟の課題に真摯に向き合う姿勢に共感し、連携を進めることになりました。

情報共有の一元化から始まる、強化現場の変化
連盟は2026年5月からAtletaの運用を開始し、まずは強化指定選手、育成プロジェクト選手、コーチを対象に導入。現在44名のアカウントが作成されています。
最初に移行したのは、強化合宿に関する募集・案内業務です。これまで複数のツールに分かれていた案内の確認先や回答方法を、Atleta上で情報発信から参加申込まで一元化しました。
現在は、合宿案内や参加申込に加え、合宿終了後の交通費精算の報告やアンケート回答にも活用するための準備を進めています。選手・コーチ・スタッフが同じプラットフォーム上で情報を確認できるようになり、強化事業に関する情報共有の基盤づくりが進んでいます。

本格的な活用はこれからの段階ですが、運用開始に向けた説明会にも多くの方が参加するなど、連盟は新しい仕組みを受け入れる土台を整えています。今後、強化合宿後に実施する交通費精算やアンケート提出などを通じて、本格的な運用が始まる予定です。
Atletaの運用にあたっては、強化現場の若手コーチが中心となって情報発信や運営を担当。これまで事務局が担っていた連絡業務を現場側で進められるようになったことで、強化活動をより主体的に運営できる環境づくりにつながると期待されています。
事務局が間に入る場合と比べて選手と強化スタッフの距離が近くなり、現場の声がより直接的に共有されること、さらに若手コーチが運営に関わることが新たな人材育成の機会になることなど、単なるシステム導入にとどまらない効果が生まれつつあります。
「選手が競技に集中できる環境を」両者が目指すもの
クライムファクトリーは、これまで選手・コーチ・スタッフ間の情報共有を最適化し、チームとして選手を支える基盤づくりを支援してきました。今回のAtleta導入について、情報共有の基盤が整理されることで、チーム全体で選手を支える体制づくりに寄与できると考えています。
連盟は今回の連携を振り返り、情報共有や連絡業務の課題を「解決すべき課題」として強く認識できていたわけではなかったものの、クライムファクトリーとの出会いを通じて新たな視点を得られたと語ります。
今後はAtletaの活用を進めながら、選手が競技に集中できる環境づくりや、強化活動を支える人材育成、持続可能な組織づくりに取り組んでいく考えです。そしてその先には、日本パラ・パワーリフティング界の長年の目標であるパラリンピックメダリストの輩出を見据えています。
「企業が支援する側、競技団体が支援を受ける側という関係ではなく、それぞれの強みや得意なことを持ち寄りながら、社会課題や競技課題の解決に取り組む共創の輪を広げていきたい」と連盟は語ります。世の中には「仕方ない」「どうせ変わらない」と思われている課題が数多くありますが、それらも誰かの得意や経験によって解決できる可能性がある。今回の取り組みは、まさに企業が持つ強みと競技団体が抱えていた課題が出会うことで生まれたものでした。
選手の活躍が誰かを勇気づけ、社会を少し前向きにする。クライムファクトリーと連盟の取り組みは、企業と競技団体が共に価値を創り出す共創モデルの一例として、他の競技団体や企業にとっても新たな一歩となることが期待されます。
>> 日本パラ・パワーリフティング連盟の強化活動におけるコンディション管理・情報共有基盤として 「Atleta(アトレータ)」を導入
TEAM BEYOND パラコネクトでは、引き続きさまざまな連携事例の創出を支援してまいります。
会社・団体概要
■ クライムファクトリー株式会社 選手データとチームコミュニケーションのプラットフォーム「Atleta(アトレータ)」の開発・提供等を展開。
https://susnet.jp/corps/climbfactory
■ 特定非営利活動法人 日本パラ・パワーリフティング連盟 下肢に障がいのある選手によるベンチプレス競技「パラ・パワーリフティング」の普及・強化を行う国内統括団体。
https://susnet.jp/orgs/jppf










