ICHI COMMONSは東京都と協働で、パラスポーツ競技団体と企業の連携を促進するオンラインマッチングプラットフォーム「TEAM BEYOND パラコネクト」を運営しています。本記事では、このプラットフォームを通じて実現した連携事例として、VEEMO株式会社と日本パラ・パワーリフティング連盟の取り組みをご紹介します。
障害者等用駐車区画の適正利用や移動環境の改善に取り組むVEEMO株式会社と、ベンチプレス競技 パラ・パワーリフティングの国内統括団体である日本パラ・パワーリフティング連盟。全日本選手権への協賛を機にスタートした両者の関係から、選手の声を直接サービス開発に活かす「ヒアリング会」という新たな共創のかたちへと発展した様子をご紹介します。
目次
TEAM BEYOND パラコネクトとは
「TEAM BEYOND パラコネクト」は、東京都とICHI COMMONS株式会社が協働して2025年8月に開設したオンラインマッチングプラットフォームです。
競技団体のニーズと企業のアセット(提供できるノウハウや資源)を可視化し、コーディネーターによる伴走支援を通じて最適な連携を実現します。従来は年一回の対面交流会で行われていたマッチングを、年間を通じて支援する仕組みに発展させ、障害者スポーツ環境の充実や競技団体の基盤強化を図るとともに、企業の社員エンゲージメント向上や社会共創活動の推進にもつながる新たな仕組みです。
VEEMOと日本パラ・パワーリフティング連盟のマッチング
今回ご紹介するのは、障害者等用駐車区画の適正利用と移動環境の改善に取り組むVEEMO株式会社(以下、VEEMO)と、日本パラ・パワーリフティング連盟(以下、連盟)との連携です。
VEEMOは「移動に関する不満をなくし、スムーズな移動体験を提供する」というビジョンのもと、利用者視点でのサービス開発を重視しています。一方で、障害者等用駐車スペースを実際に利用される当事者の声を、自社単独で十分にヒアリングすることには難しさも感じていました。
連盟は、企業との関係を単なる協賛や支援で終わらせるのではなく、互いの強みや課題を持ち寄りながら価値を生み出す「共創」の関係へ発展させていきたいと考えていました。VEEMOからは全日本選手権への協賛をいただいていましたが、その振り返りの中で、選手が日常生活で感じている移動や駐車場利用に関する課題が、VEEMOの事業やサービス開発に役立つのではないかという話が浮かび上がりました。
パラスポーツの選手は支援を受けるだけの存在ではなく、選手が持つ経験や視点を社会に還元し、企業や地域の課題解決に貢献できる可能性がある。連盟のこうした想いと、当事者の声に基づくサービス開発を志向するVEEMOの想いが合致し、選手へのヒアリング会という新たな共創がスタートしました。
「協賛」から「共創」へ、選手の経験を社会につなぐ場づくり

2026年5月、2日間にわたってヒアリング会が実施されました。兵庫、愛知、茨城、東京など異なる地域で生活する選手6名と、VEEMO・連盟の担当者がオンラインで参加。一度ですべての意見を集約するのではなく、各回およそ1時間半をかけて、選手一人ひとりの経験や考えを丁寧に伺う形が取られました。
ヒアリングでは、駐車スペースを日常的に利用する上で選手が感じてきた率直な意見や、施設運営者への期待、社会への啓発の必要性などについて意見が交わされました。同時に、VEEMOからもサービス開発や普及活動の考え方が共有され、一方的な情報提供にとどまらず、双方が学び合う対話の場となりました。
印象的だったのは、対話が進む中で場の性質そのものが変化していった点です。当初は企業が選手から話を聞く場でしたが、議論が深まるにつれ、どのように社会へ伝えていくかを共に考える場へと発展していきました。
選手から「障害者用駐車区画がなぜ必要なのか、その理由を伝えていくことが重要ではないか」という意見が出ると、VEEMOからも仕組みやサービスにとどまらず、社会の理解を広げる啓発活動の重要性についての話が共有され、両者の視点が重なっていきました。
選手の経験そのものが、企業のサービスや社会への発信に活きる資源となる。連盟は、こうした共創の関係を築くことも競技団体の重要な役割と捉えており、今回のヒアリング会はそのモデルを具体化する第一歩となりました。
競技の枠を超えて、社会の力に変える

VEEMOは、ヒアリングを通じて得た当事者の声を、今後のサービス改善や開発に活かしていきたいと話します。利用者によって駐車スペースに求める要件が異なるなど、当事者ならではの具体的な視点に触れたことで、より実効性の高い取り組みにつなげていく考えです。
連盟もまた、選手の声を活かしたポスターや動画など、駐車区画の社会的理解を広げる啓発コンテンツづくりへの協力に可能性を感じています。一度きりのヒアリングで終わらせるのではなく、選手の声がサービスや啓発活動として社会に実装される事例へと発展させていきたい考えです。
「パラ・パワーリフティングは、日々のトレーニングを積み重ね、1kgずつ記録を伸ばしていく競技です。社会の理解や共生も同じで、一度で大きく変わるものではありません。選手の経験を伝え、企業と対話し、一歩ずつ理解を広げていくことで、やがて大きな変化につながると考えています」と連盟は語ります。
選手の経験や視点を、競技の枠を超えて社会の力へと変えていく。VEEMOと連盟の取り組みは、企業と競技団体が共に価値を創り出す新しい共創モデルの一例として、今後の展開が期待されます。
TEAM BEYOND パラコネクトでは、引き続きさまざまな連携事例の創出を支援してまいります。
会社・団体概要
■ VEEMO株式会社 障害者等用駐車区画の適正利用および移動環境の改善に向けたサービス等を展開。
https://susnet.jp/corps/veemo
■ 特定非営利活動法人 日本パラ・パワーリフティング連盟 下肢に障がいのある選手によるベンチプレス競技「パラ・パワーリフティング」の普及・強化を行う国内統括団体。
https://susnet.jp/orgs/jppf










