ICHI COMMONSは東京都と協働で、パラスポーツ競技団体と企業の連携を促進するオンラインマッチングプラットフォーム「TEAM BEYOND パラコネクト」を運営しています。本記事では、このプラットフォームを通じて実現した連携事例として、株式会社ウォーターネットと日本デフ陸上競技協会の取り組みをご紹介します。
「水を通じて人と社会に貢献する」を理念に給水インフラを支える株式会社ウォーターネットと、「きこえない人と、きこえる人が共に生きる豊かな社会の実現」を目指す日本デフ陸上競技協会。両者の連携は、猛暑下の競技現場に欠かせない水を起点に、選手の安心、人と人とのつながり、そして環境への配慮までを結びつける取り組みへと広がっています。
TEAM BEYOND パラコネクトとは
「TEAM BEYOND パラコネクト」は、東京都とICHI COMMONS株式会社が協働して2025年8月に開設したオンラインマッチングプラットフォームです。
競技団体のニーズと企業のアセット(提供できるノウハウや資源)を可視化し、コーディネーターによる伴走支援を通じて最適な連携を実現します。従来は年一回の対面交流会で行われていたマッチングを、年間を通じて支援する仕組みに発展させ、障害者スポーツ環境の充実や競技団体の基盤強化を図るとともに、企業の社員エンゲージメント向上や社会共創活動の推進にもつながる新たな仕組みです。
ウォーターネットと日本デフ陸上競技協会のマッチング
今回ご紹介するのは、宅配型ウォーターサーバー事業を中心に給水インフラサービスを展開する株式会社ウォーターネット(以下、ウォーターネット)と、日本デフ陸上競技協会(以下、協会)との連携です。
ウォーターネットは「水を通じて人と社会に貢献する」を理念に、安心・安全な飲料水の提供にとどまらず、熱中症対策、災害時の飲料水確保、マイボトル利用促進による環境負荷低減など、水を通じた幅広い社会課題の解決に取り組んでいます。自治体・企業・学校・スポーツ施設向けの給水インフラを支える中で、障害者スポーツの現場が抱える競技環境の整備や熱中症対策、給水環境の充実といった課題にも目を向けてきました。
一方、協会が主催・参加するイベントでは、特に夏季において、参加者やスタッフの熱中症対策・水分補給の環境整備が常に重要な課題でした。屋外で長時間活動する陸上競技では、選手やスタッフがいつでも安全に水分補給できる環境が欠かせません。しかし、限られた予算やリソースの中で、いかに安全かつ十分な水を提供できるかが大きな問いとなっていました。
そうした中で協会が求めていたのは、単に飲料水を確保するだけのパートナーではありませんでした。環境配慮やサステナビリティといった社会的な価値観を共有し、共にスポーツを支えてくれる企業との連携です。一方のウォーターネットもまた、一度きりの物品提供ではなく、競技現場の課題解決や選手のパフォーマンス向上につながる継続的な連携を目指していました。
両者の想いが合致し、2026年6月にパロマ瑞穂スタジアムで開催された第110回日本陸上競技選手権大会において、ウォーターネットから協会のPRブースへウォーターサーバーと飲料水が提供され、来場者等に飲料水を提供する取り組みが実現しました。
猛暑の競技現場を支えた、一杯の冷たい水

大会当日は気温が非常に高く、選手やスタッフの命を守る熱中症対策がまさに急務でした。冷たくて美味しい水をいつでも、誰もが十分に補給できる環境を整えたい。その狙いのもと導入されたウォーターサーバーは、会場で大きな反響を呼びました。
設置場所が協会ブースの入口付近だったこともあり、選手だけでなく、指導者やスタッフ、さらにイベントに来場した一般のお客さままで、多くの人がサーバーを利用しました。「本当に助かった」「無償でいつでも冷たい水が飲めてありがたい」という声が、立場を超えて数多く寄せられたといいます。過酷な暑さの中で、誰もが安心して水分補給できる環境があること。その当たり前のようでいて実現の難しい価値を、両者は現場で改めて実感することとなりました。
また、今回の取り組みでは、給水という機能を超えた効果も生まれました。ウォーターサーバーをきっかけに人々の間で会話が生まれ、企業と競技団体の交流が自然と促進されたのです。ウォーターネットは「単なる給水設備ではなく、人と人をつなぐコミュニケーションの場としても機能した」と振り返ります。水を飲むために人が集まり、そこで言葉が交わされ関係が生まれる。これは当初の想定を超えた、嬉しい効果であったといいます。
協会にとっても、この連携は活動そのものへの理解者を増やす機会となりました。ウォーターネット側も、現場で選手たちと触れ合う中で、協会の活動や選手一人ひとりの熱意をより深く知ることができたといいます。物品の提供という枠を超え、互いの存在を知り合う。一杯の水がその入口になりました。
マイボトルが実践する、サステナブルな大会運営
もう一つ、両者が共通のビジョンとして掲げていたのが「環境への配慮」でした。今回のイベントではマイボトルの持参を積極的に推奨し、紙コップ等の用意は最低限に留めるという運営方針を採用すると、参加者が自然とマイボトルに水を汲む姿が会場のあちこちで見られるようになりました。イベントにおけるプラスチックごみの削減を、参加者一人ひとりが実践し、その意義を自然と体感する。「プラスチックフリーを実践・啓発できたことは、想定以上の素晴らしい効果だった」と協会は語ります。
安心・安全な給水環境の整備と、マイボトル活用による環境負荷の低減。スポーツシーンにおける安心・安全とサステナブルな大会運営という両者の共通ビジョンが、現場で確かに形になった瞬間でした。共生社会の実現と地球環境への配慮を同時に推進する、その第一歩が、ここに刻まれました。

今回のイベントでの手応えを経て、両者は継続的なパートナーシップの可能性を強く実感しています。実際、選手たちからは「今後の合宿などでもウォーターサーバーから水を供給してもらえる」など、すでに多数の喜びと期待の声が上がっているといいます。選手のパフォーマンス向上やコンディショニングを支える存在として、協会はウォーターネットに大きな信頼を寄せています。
両者が描く次のステップは、さらに一歩踏み込んだコラボレーションです。協会は、ロゴをあしらったオリジナルマイボトルを制作・販売し、そのボトルでウォーターネットのサーバーを利用してもらう仕組みを構想しています。これにより、デフ陸上のファン拡大や普及活動につなげると同時に、ウォーターネットが推進するサステナブルな取り組みにも協会自身がコミットする。水を媒介に、競技の普及と環境貢献が同時に回り続ける循環を生み出そうとしています。
ウォーターネットもまた、この連携をさらに広げていく方針です。熱中症対策・給水インフラ整備・災害時支援の3つを柱に、デフスポーツにとどまらず、さまざまな障害者スポーツ団体や自治体との連携を見据えています。東京都障害者スポーツ大会やデフリンピック関連事業への協力も進めており、スポーツ現場における給水インフラの重要性を社会へ広く発信していきたいと考えています。
一杯の冷たい水が、選手の安心を支え、人と人をつなぎ、環境への配慮を広げていく。共生社会の実現と地球環境への貢献をともに目指す両者の挑戦は、まだ始まったばかりです。
TEAM BEYOND パラコネクトでは、引き続きさまざまな連携事例の創出を支援してまいります。
会社・団体概要
■ 株式会社ウォーターネット 「水を通じて人と社会に貢献する」を理念に、宅配型ウォーターサーバー事業や給水インフラサービスを展開。
https://susnet.jp/corps/waternet-inc
■ 日本デフ陸上競技協会(JDAA) 聴覚障がいのあるアスリートが活躍できる環境づくりと、デフ陸上競技の普及・発展を推進する団体。
https://susnet.jp/orgs/jdaa










