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NPOの現場で見出す課題と解決。こまちぷらすのカフェ型居場所で、企業人が探るセッション

 
経済同友会が主催する「ソーシャルウェンズデー」とは、水曜日を中心に企業人がボランティアや社会貢献活動に取り組む新たなムーブメントの名称です。ソーシャルウェンズデーを通じて、100社1万人のトライセクター人財(民間、公共、市民社会の3つのセクターの垣根を越えて「社会価値」の創造に取り組む実践者)を輩出することを目標としています。

今回は、2025年8月に開催された第5回リーダープログラムにおける、認定NPO法人こまちぷらすによる「現場セッション」の内容を紹介します。


>> 第1回 リーダープログラム始動
>> 第2回 貧困家庭の学習支援現場へ参加
>> 第3回 サントリーグループの社会貢献活動に学ぶ
>> 第4回 企業とNPOが共に考える課題解決策 

まちの力で、子育てが豊かになる社会を

認定NPO法人こまちぷらすは、子育てが「まちの力」で豊かになる社会を目指し、2012年に設立された団体です。孤立した子育てをなくすこと、そして多様な人の力が活かされる参加の機会づくりを重要視して、横浜市戸塚区を拠点に「comachi cafe/こまちカフェ」「coyorido cafe/こよりどうカフェ」という常設のカフェ型居場所を運営。地域と親子がつながる気軽に集える場所づくりを通じて、子育て中の孤立・孤独の解消に取り組んでいます。

第4回のリーダープログラムでは、NPO団体が抱える組織課題の整理を行いました。今回はその学びを深めるため、実際にこまちぷらすの現場を訪問し、団体の活動や課題を肌で感じながら、企業人としてどのような支援や協働が可能かを探る現場セッションが実施されました。

まちの小さなヨリドコロ「coyorido cafe」Webサイトより

 

現場で体感するNPO運営の実態と、参加者が考える課題解決

プログラムでは、こまちぷらすが運営する「coyorido cafe/こよりどうカフェ」を訪問し、実際に地域と人々を結ぶ現場でのセッションが行われました。はじめに、こまちぷらすの事業説明と、抱える課題として①企業からの寄付②居場所立ち上げ支援プログラムの実施地域の増加の二点が共有されました。

 
ブレインストーミングセッションでは、参加者と団体との活発な対話が展開されました。こまちぷらすは多岐にわたる活動を展開しているため、その全体像を簡潔に伝えることが難しく、企業への提案方法に苦慮している状況が明らかになったことから、活動内容の効果的な伝え方の重要性が、両課題に共通する根本的な問題として挙げられました。

問題点について、参加者から企業人の視点で多様なアイデアが交わされる中、ストーリー性を持たせた伝え方や利用者の声を活用したアプローチなど、企業担当者が共感しやすい訴求方法を重要視するという今後の方向性がまとまりました。その他にも実践的なアイデアが次々と提案され、NPO運営の実態について深い議論が交わされました。

 
参加者からは「今までNPO運営の経験はないが、企業で積み重ねてきたことを活かせる場面が多くあると感じた」「今後の発展に関われることに非常にやりがいを感じている。今回だけで終わらせるのではなく継続的に関係性を築いていきたい」といった前向きなコメントが寄せられました。

注目すべきは、参加者の有志により、約1か月後に壁打ちの機会を設けることが自発的に決まった点です。参加者自らが主体的かつ継続的に取り組みを展開していくことこそが、本プログラムが生み出す大きな価値を示しています。

 

サステナPressでは、引き続きプログラム内容をご紹介するとともに、トライセクター人財の活躍や共創事例、これからの社会課題解決の新たな形を探っていきます。