ホーム » イベントレポート » 支援から「関わりしろ」へ。NPOの現場と探る、企業との共創の入口

支援から「関わりしろ」へ。NPOの現場と探る、企業との共創の入口

  
経済同友会と新公益連盟等が連携して展開する「ソーシャルウェンズデー」は、民間・公共・市民社会の3つのセクターを越えて社会課題解決に取り組むトライセクター人財の育成を目指す取り組みです。2026年度のリーダープログラムは参画企業を30社以上に拡大。「個人の気づきから、組織の学び、そして企業の前進へ」をテーマに、現場セッションと共創セッションを交互に展開しています。

この記事では、2026年7月に開催された第4回プログラムの内容をご紹介します。認定NPO法人サービスグラントと6つのNPO・社会的団体を迎え、企業とNPOが同じテーブルを囲みながら、企業はどのようにNPOの活動に関われるかという「関わりしろ」を一緒に描くワークショップ型のセッションとなりました。


プロボノという関わり方と「支援」の捉え直し

認定NPO法人サービスグラントの進行によるワークショップでは、はじめに「プロボノ」という考え方が共有されました。

プロボノとは、職業上のスキル・経験等をボランティアとして提供し、社会課題の解決に成果をもたらすことNPOや地域団体の日常的な活動を支えているのは、情報発信、業務改善、資金調達、事業戦略といった運営基盤です。そこにビジネスの現場で培われたスキルが入ることで、支援を必要とする人たちへ活動をより広く届けられるようになります。

サービスグラントは「日本を、世界を、社会参加先進国にする」ことを掲げ、社会課題を前に互いの立場や違いを尊重しながら、当たり前のように協働できる社会を目指しています。
 

 
当日は、参加者にプロボノにチャレンジしていただきました。ゴールとして掲げられたのは、実際のNPOの現場理解を起点に、企業としてどのように関われるかを考え、多様な「関わりしろ」や共創のアイデアを広げること

企業側が答えを持ち込むのではなく、団体と企業が同じテーブルで、小さな課題も大きな課題もまずは出してみる、いろいろな見方・考え方をまずは尊重して受け止める、解決の方向性を考えるポジティブな場にするといったグラウンドルールのもとでワークショップがスタートしました。

6団体の現場を起点に「関わりしろ」を検討

今回のワークショップに参加したのは、次の6団体です。

認定NPO法人AYA
病気や障がいのある子どもと家族に、映画鑑賞やスポーツ観戦を医療者同行で安心して楽しめる体験を提供しています。

NPO法人サンカクシャ
頼れる大人がいない若者に寄り添い、社会とのつながりを取り戻し自立へ向かう機会を創出しています。

認定NPO法人育て上げネット
若者が自分に合った働き方と生き方を見つけ実現できるよう、寄り添いながらサポートしています。

一般社団法人TOKYO PLAY
「子どもの遊ぶ権利」を社会全体で守り育て、すべての子どもが自由に遊べる環境づくりを進めています。

公益社団法人ピースボート災害支援センター
災害時の緊急・復旧支援と、平時の防災教育やボランティア育成に取り組んでいます。

一般社団法人merry attic
放課後や宿泊型の子どもの居場所を多拠点で運営し、”頼れる空気感”を社会に広げています。
 

 
各テーブルではまず、団体からの活動紹介をもとに現状を整理しました。今後の活動の目標や企業との協働で実現したいこと、協働における課題、すでにある企業・企業社員との関わりの例など、企業側の参加者が質問を重ねながら、模造紙にポストイットで書き出していきます。

その上で取り組むのが、新たな「関わりしろ」の検討です。企業のリソース(人・場・情報等)の提供、団体と企業で一緒に協働・企画を検討すること、社員との接点を作ること。こうした切り口を手がかりに「質より量」「判断・評価をしない」「他の人のアイデアに乗っかる」という発散のポイントを大事にしながらアイデアを広げていきました。

今回のワークショップでは、「関わりしろ」のアイデアから一つ以上を選び、実現できそうなアクションと最初の一歩を考えるところまでを行いました。「ボランティア募集をソーシャルウェンズデーのWebサイトに掲載する」「社員参加型のオンラインセミナーを実施してみる」「企業内イベントにオブザーブしにいく」などの例が示される中、アイデアを具体的な一歩へと着地させる時間となりました。

複数の現場を横断するグループトーク

 
後半は、各団体が検討した「関わりしろ」とアクションプランを、全体に共有するところから始まりました。企業の参加者はその内容を聞いた上で、より話を聞いてみたい団体、関わりたい団体のテーブルへと移動します。

20分ずつのグループトークでは、自己紹介と名刺交換、発表への感想や質問からスタート。担当した団体以外の現場にも触れながら、内容を深め、自社や個人としてできることを考える対話が交わされました。良いと思ったことや追加のアイデアは、その場で模造紙に貼り出されていきます。

ひとつの団体と深く向き合う前半と、複数の現場を横断する後半。団体ごとの個別性と、課題の背後にある共通性をそれぞれ確認する機会となりました。

課題にもつながりがある。ワークショップから生まれた気づき

最後の感想共有では、団体からは当日の気づきと今後チャレンジしたいことが、企業の参加者からは共創のヒントとして得られたことや、自社・個人として関わってみたいと思ったことが語られました。

終了後のアンケートには、このような声が寄せられています。

それぞれの団体が行なっている活動が多様で、自分の視野が広がった気がします。社会課題は包含的、連鎖的だと思うので、一箇所を抜き出して活動していても、解決できるスケールが部分になってしまうように思います。スケールを目指すのか、一部の人を狙うのか。色々な角度から見直すと、さらにチャンスが広がる可能性があるのではと感じました。

複数の現場に同時に触れたからこそ生まれた、課題同士のつながりへの気づき。どの範囲をどう捉え、どう関わるのかという、支援の設計そのものへと視点が向かっています。

企業からの積極的な声がけを望まれている団体様が多かったように感じました。どのテーマについてもスモールスタートであればすぐに協力できる余地を感じました。

大きな枠組みを整えてから始めるのではなく、小さく始められる余地はすでに目の前にある。「関わりしろ」を一緒に探すという今回のワークショップが引き出したのは、企業とNPOの間にある距離が、思っているよりも短いという実感でした。
 


 
ソーシャルウェンズデーが目指すのは、各社の戦略的な共創企画を生み出すリーダープログラム、社員が個人として機会をつかむオープンプログラム、そして大学連合や多様な連携を拡張するエコシステムが重なり合う、横断的なコレクティブインパクトの創出です。

サステナPressでは、引き続き12月までのリーダープログラムの内容をご紹介するとともに、トライセクター人財の活躍や共創事例、これからの社会課題解決の新たな形を探っていきます。