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サントリーグループの社会貢献活動に学ぶ、「ソーシャルウェンズデー」リーダープログラム第3回

 

経済同友会が主催する「ソーシャルウェンズデー」とは、水曜日を中心に企業人がボランティアや社会貢献活動に取り組む新たなムーブメントの名称です。ソーシャルウェンズデーを通じて、100社1万人のトライセクター人財(民間、公共、市民社会の3つのセクターの垣根を越えて「社会価値」の創造に取り組む実践者)を輩出することを目標としています。

今回は、2025年6月に開催された第3回リーダープログラムにおける、サントリーグループの社会貢献活動を学ぶプログラム内容を紹介します。

 

>> 第1回 リーダープログラム始動
>> 第2回 貧困家庭の学習支援現場へ参加

 

第3回「サントリーグループの社会貢献活動」を学ぶプログラム内容

2025年6月18日に開催された第3回リーダープログラムでは、サントリーグループの社会貢献活動について、サントリーホールディングス株式会社 CSR推進部長の一木典子氏、同社 CSR推進部の須崎渉氏によるプレゼンテーションが行われた後、「課題感の共有と対話」をテーマにチームディスカッションが行われました。

 

企業理念に根ざした社会課題解決への取り組み

 
はじめに、創業から125年にわたるサントリーグループの社会貢献活動の歴史について、一木氏から解説がありました。同社が掲げる価値観のひとつである「利益三分主義」のもと、戦後復興から環境問題、サステナビリティ・DEIなど、時代に応じた社会課題に今日まで向き合い続けてきました。
 

 
2023年から、同社は貧困・格差の拡大をふまえた「次世代エンパワメント活動」の取り組みを強化しています。日本の子ども・若者における貧困率の高さや自己肯定感の低さといった課題と、複合的な困難に直面している現状から、行政が対応しきれないこどもたちに対しては、民間支援が期待されています。
 

 
具体的なアクションとしては、学校外の体験格差解消の仕組みづくりとして立ち上がった「こども冒険バンク」の事例が取り上げられました。認定NPO法人フローレンスとの協働で開発された同取り組みは、27社の企業から約5,000枠の体験の提供を受け、約1,500世帯の会員登録を達成。企業・利用者・運営者それぞれにメリットをもたらす仕組みとして「WELLBEING AWARDS 2025」モノ・サービス部門でグランプリを受賞するなど高い評価を得ています。
 

  
他にも、子どもの居場所の質・量拡大の取り組みや、大人の参画機会の創出などについて、NPOとの連携によりコレクティブインパクトの創出を目指す同社の姿勢が伝えられました。

 

社員の参加促進と事業連動の実践論

 
須崎氏によるプレゼンテーションでは、社会貢献活動における社員参加促進と事業連動の具体的な手法について、自身の営業経験を踏まえた実践的なアプローチが紹介されました。

社員が社会貢献活動に参加するためには「参加の重要性を実感すること」「簡単に参加できる仕組みや仕掛け」が必要であることや、それぞれに対する具体的な解決策が提示されました。かつて創業者が生活に困った方々に餅を配ったというエピソードを現代に蘇らせた「令和の餅つき!」イベントを全国7会場で実施し、570名の社員が参加する成果を上げた事例など、企業パーパス・ビジョンと連動した活動設計を重視していることがわかります。
 

 
また、簡単な事から始めるための段階的なアプローチについても詳しく説明されました。社内イベントでのCSR活動体験ブースの設置や、昼休みを活用した絵本づくりボランティア、若手限定のボランティア旅行の実施など、参加ハードルを下げながら段階的に関与度を高める仕組みづくりを詳述。
 

 
さらに、法人営業との連動による能登マルシェの実施や、取引先企業との協働による飲食店型こども食堂運営支援など、事業活動と社会貢献を有機的に結びつける手法が具体例とともに解説されました。

須崎氏は「社会貢献に取り組むことを現代の社会人の一般教養としたい」との想いを語り、少子高齢化や環境問題など山積する社会課題への取り組みが、社会・企業活動の継続に不可欠であることを参加者に強く訴えています。
 

参加者の声

参加者からは「サントリー社の創業の精神が社員全体に浸透しているのが取り組みからよくわかった。お客様企業と合同のボランティアは事業部門を巻き込むとても良い仕掛けだと思う」「社会貢献活動に社員が参加しやすくなる制度や支援、仕組み、評価制度が、会社としてどのようなものが具体的に適用されていて、その実効と改善課題を具体的に共有・協議する機会があるといい」といった声があり、企業の本業と社会貢献活動を結びつける具体的な手法への高い関心が窺えました。
 

 

サステナPressでは、12月までの「リーダープログラム」の内容をご紹介するとともに、トライセクター人財の活躍や共創事例、これからの社会課題解決の新たな形を探っていきます!